最近注目され続けているVTuber業界では、企業だけでなく国の機関や自治体もVTuberを活用する機会が増えています。
ここ数年でVTuberを見かける機会が増えたことは間違いないでしょう。
国内で定着し始めているエンタメコンテンツ「VTuber」は、企業や自治体では「広報」を行う際に活用されることが多く、VTuberファンのメイン層である若者に向けた発信を行うために積極的にVTuberが起用され始めています。
中にはPRのためにVTuberを制作・運用している企業もあり、今後は企業の公式キャラクターを芸能人や人気アニメキャラクターが務めるだけでなく、VTuberが採用される機会が急増することが予想されます。
今回の記事では、企業・自治体の広報施策として「VTuber運用」を検討している企業・自治体の担当者さんに向けて、VTuberを運用する方法や運用のコツを解説させていただきます。ぜひ最後まで読んでみてください。
企業・自治体による”VTuber運用”が増加する理由とメリット
企業・自治体でVTuber活用が急増する背景には、VTuberコンテンツが話題性に長けていることはもちろん、VTuberを扱う大きなメリットが3つ存在します。ここでは「VTuber」を活用するメリットを紹介します。
若年層への発信が可能になる
矢野経済研究所が発表した「VTuberに関する消費者アンケート調査」から、男性・女性ともに10代〜30代の若年層がVTuberファンのメイン層になってくることがわかりました。(引用:https://www.moguravr.com/vtuber-fan-gender-questionnaire/)
つまり企業や自治体がVTuberを活用することで「若年層」をターゲットとした発信を強めることができます。若年層への認知を取りたい、また若年層への訴求を強化したい場合にはVTuberの活用がおすすめです。
インターネット上での発信を強化できる
VTuberはYouTubeやX(旧:Twitter)での発信がメインの活動となり、活動場所は主にインターネット(SNS)上になります。近年SNSマーケティングが注目されていますが、VTuberを活用したPRはまさにSNSマーケティングの一種です。
「SNSマーケティング」はインターネット上で発信を行うため、費用を抑えながら、鮮度良くまた広範囲に発信を行うことが可能です。DX化が話題になっていることから「デジタル」を上手く駆使して多くの人に情報を届けたいと思っている方は一度VTuberの活用を検討してみてください。
炎上リスクが少ない
タレントがとある企業のイメージキャラクターを務めていたが、プライベートでの不祥事が原因でタレント自身が炎上してしまい、イメージキャラクターを降板となった事例は少なくありません。
企業や自治体のイメージキャラクターとしてタレントを起用すると、そのタレントが企業・自治体の「顔」となるわけですから、非常に責任重大なお仕事になってきます。
VTuberは「デジタルキャラクター」として活動していることから、中の人の個人情報が出回る可能性がとても低く、VTuber活動とプライベートを切り分けやすくなっています。そのため、プライベート上での不祥事が原因で炎上することが芸能人と比べてかなり少なくなっています。
前例ができて受け入れられやすくなり、VTuberの雇用が現実的に変化している
VTuberと地域・自治体のコラボや、PR大使として成功した活動事例が増えたことから、少しづつですがVTuberの雇用・活用が現実的になってきたという背景があります。
配信機材の準備やモデルの制作が難しいといった悩みも、VTuber活用の専門企業の制作支援を使うことで解決します。
また市民からキャラクターデザインや演者を募集する企画も行うことで、住民からの注目度や話題性も獲得しやすくなります。
では、企業・自治体でオリジナルのVTuberを制作し、運用したいと思っている方のために、VTuber制作から運用までの手順を解説します。
① キャラクターのコンセプトや活動方針を決定
② VTuberのモデルを制作
③ 「中の人」を決定
④ 配信機材の準備
⑤ VTuberデビューの準備
一般的にVTuberになりたい個人の方やVTuberを制作したい企業・自治体の方、両者ともに上記の手順でVTuberの制作から運用まで進めていくことがほとんどです。(※ VTuberになりたい個人の方は「③ 「中の人」を決定」はなし)
「VTuber制作」について詳しく知りたい方は下記の関連記事をご覧ください。
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企業・自治体のVTuber活用方法を3つ紹介
まずは企業・自治体でVTuberがどういった活用方法をされているのかを紹介させていただきます。
① 企業・自治体の”公式キャラクター”として起用
まずはVTuberを企業・自治体の「公式キャラクター」として起用する方法です。企業や自治体がVTuberを「公式キャラクター」として起用する場合は2種類のパターンがあります。
[1] 会社・自治体でVTuberを運用しているパターン
[2] すでに活動しているVTuberを起用するパターン
今回の記事では、「[1] 会社・自治体でVTuberを運用しているパターン」でのVTuber運用についてわかりやすく解説させていただきます。
茨城県公認VTuber「茨ひより」さん
地方・自治体発の公認VTuberの先駆けともいえる存在となった「茨ひより」さん。
自治体が運営するYouTubeチャンネル「いばキラTV」にて茨城県の魅力を伝える生配信や活動を積極的に行われています。彼女の活動が生んだ経済効果は、広告換算すると「約5億円」にも上ると報告されています。
岩手県公認VTuber「岩手 さちこ」さん
「岩手 さちこ」さんは、岩手県公認のVTuber。10代〜30代後半などの世代を中心に岩手県の魅力や活動の取り組みをSNSなどを通して伝え、関係人口の増加・拡大を目指して活動されています。演者は声優の「佐々木 未来(みこい)」さんを起用しており、VTuberとしては珍しく、演者の情報がオープンとなっています。
公式キャラクターとしての、芸能人・アニメキャラクター起用は現在も人気が強い
現在は「公式キャラクター」として、芸能人・スポーツ選手などの有名人や人気アニメのキャラクターが多く起用されています。
<芸能人の起用例>
● JR SKISKI(JR東日本)
東日本旅客鉄道株式会社が1991年から展開しているスノーレジャーキャンペーン「JR SKISKI」では、2022〜2023年シーズンのメインキャラクターに女優の「南沙良」を起用。
● 令和3年東京都議会議員選挙
東京都選挙管理委員会は、令和3年東京都議会議員選挙に向けた東京都議会議員選挙のイメージキャラクターに「浜辺美波」を起用。
<アニメキャラクターの起用例>
● きらぼし銀行
株式会社東京きらぼしフィナンシャルグループのイメージキャラクターとして人気キャラクターの「Little Twin Stars」を起用。
● 沼津市観光大使
沼津市では「市制100周年記念燦々ぬまづ大使(令和5年度~令和6年度)」にアニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」のスクールアイドル「Aqours(アクア)」を起用。
●広報・PRに専属するオリジナルキャラクターを制作する事例は多い
企業・自治体ごとでオリジナルキャラクターを制作する場合もあります。例えば「ご当地ゆるキャラ」は自治体の公式キャラクターとしてオリジナルキャラクターが制作された代表例といえるでしょう。
*くまモン(熊本県のご当地ゆるキャラ)
*ぐんまちゃん(群馬県のご当地ゆるキャラ)
*ふっかちゃん(深谷市のご当地ゆるキャラ)
また企業でもオリジナルキャラクター制作は多く行われています。
*つば九郎(東京ヤクルトスワローズの公式キャラクター)
*お買いものパンダ(楽天の公式キャラクター)
*ムッシュ熊雄(エステー株式会社「ムシューダ」の公式キャラクター)
企業の公式キャラクターとしてもVTuberが活躍する事例も増えている
最近はVTuber業界への注目度が高まっていることから、公式キャラクターに「VTuber」が起用されることも多くなってきました。
例えば東京都は「東京観光大使」にホロライブプロダクションに所属するVTuber3名を起用し、サントリーホールディングスは「公式バーチャルYouTuber」としてVTuberを制作・運用しています。
*東京観光大使(東京都)
*サントリー公式バーチャルYouTuber(サントリーホールディングス)
②企業・自治体のPRを行うために起用
企業や自治体がPRを行うために、「公式キャラクター」とは異なる形でVTuberを起用する場合もあります。
VTuberはYouTubeでの生配信による発信活動やX(旧:Twitter)での発信活動が主な活動内容になりますが、これらの発信活動の中で企業や自治体のPRを行ってもらうためにVTuberを起用します。
ご当地ゆるキャラに続き「ご当地VTuber」も活躍の流れ
自身の出身地を明確にして、その地域やエリアの魅力を自主的に発信して活動する地域に根付いた「ご当地VTuber」も登場しています。
当初は個人勢VTuberの活動が多くありましたが、「春日部つくし」さんのように活動が認められて、公認・公式を自治体から正式にもらった事例もあります。公認で無くとも、ご当地VTuberとして行政や地元企業などとコラボして活動をするVTuberも増えてきました。
また地元のテレビ局や新聞社、本社をその地域におく企業が運営するご当地VTuberも増え始めています。
▼根間ういさん(沖縄):「株式会社あしびかんぱにー」がプロデュース
▼大蔦エルさん(名古屋):中京テレビ放送株式会社
③VTuberを起用してコラボ企画を実施
最後にVTuberを起用して企業もしくは自治体とVTuberのコラボ企画を実施する方法があります。コラボ企画を実施することで、VTuberファンの方を巻き込みながら自然と企業・自治体のPRが可能になります。
VTuberを起用してPRを行う方法について詳しく知りたい方、VTuberを起用した場合にどんなPRができるのかを詳しく知りたい方に別記事でも紹介しておりますので、ぜひご覧ください。
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VTuber運用を始める前にやっておきたいこと5選
VTuberを運用することなったものの、初めてのVTuber運用はとても不安だと思います。ここでは実際にVTuberを運用する前にやっておきたいことを5つ紹介します。
1.VTuber運用の目的・ゴール設定
まずはVTuberを運用する目的やゴールの設定を行いましょう。
運用前に目的やゴールを決めておくことは非常に重要で、目的やゴールを決めておかないとVTuberの活用方法やVTuberの活動方針を定めることができません。
なんとなく広告でVTuberを起用したり、闇雲にVTuberが配信活動をするだけでは、多額の費用をかけてVTuber制作を行なったにも関わらず、VTuberを運用することによる効果を得ることができません。
企業・自治体の「広報キャラクター」としてVTuberを運用することが多いと思いますが、VTuberを運用することでどういった層にどういった影響を与えたいのかを考えておくことも大切です。
すでに活動中のVTuberではなく、これからVTuberのデザインや演者を探すためにオーディションの開催を検討されている方は、ぜひこちらをご覧ください。
2. 長期的な運用計画を立てる
次に、VTuber運用の長期的な設計を行います。
VTuberを運用する上で、VTuber自身の影響力は非常に重要になります。VTuberを活用して発信を行っていても、VTuber自身に発信力がないと多くの人に情報を届けることはできません。
最初に計画を立てたVTuber運用のゴールから逆算して、VTuberをどの時期にどれくらいの影響力を持っている状態にしないといけないのかを考え、まずは一ヶ月刻みでマイルストーンを設定し、年間計画を立ててみましょう。
3.VTuber活動の方針・スケジュール設定
次にVTuberの活動方針や活動スケジュールを考えていきます。
実際にVTuberを運用する前に「2. 長期的なスケジュール設計」で決定した「VTuber運用のスケジュール」を参考にして、今後どういったVTuber活動を行ってもらうか考えておく必要があります。
配信頻度や配信内容などのVTuberの活動方針をしっかりと考え、また活動スケジュールも決めておくと良いでしょう。
4.VTuberの演者・タレントの教育
活動方針やスケジュールなどが決まったら、次に中の人の「タレント教育」を行います。今後どういった活動方針・活動スケジュールで進めていくのかを説明するとともに、「中の人」にVTuberとして活動する上でのタレント教育をしっかりと行っておきましょう。
業界知識や配信方法などのVTuber活動の基礎知識を教育するのはもちろん、活動中のトラブルを防ぐために「コンプライアンス研修」をしっかり行うことが重要です。
企業・自治体でVTuberを運用するということは、タレントの言動は企業・自治体のイメージに強く影響します。先ほど芸能人と比較してVTuberは「炎上リスク」が少ないと言いましたが、全くないということではありません。
過激な発言が切り取られてしまい炎上に繋がったケースや、中の人のプライベートが取り上げられてしまって炎上に至ったケースもあるので、活動前にしっかり指導しておきましょう。
5.炎上対策、炎上対応の勉強
VTuberを運用する担当者たちも「コンプライアンス」や「炎上」に詳しくなっておく必要があります。
ただ炎上対策について勉強すれば良いわけではありません。企業・自治体で運用しているVTuberがもし炎上してしまった際の対応策についても勉強しておくことが非常に大切です。
インターネット上では一度情報が出てしまうとすぐに拡散され、情報を全て消すことが大変難しくなります。タレントを守るためにも、企業・自治体のイメージを守るためにも、「炎上対策」はもちろん、炎上してしまった場合の対応策も勉強しておきましょう。
下記のような「コンプライアンス」に関するVTuber向けの動画もたくさん投稿されているので、ぜひチェックしてみてください!
VTuberを運用する上で大切な3つのポイント
最後に企業・自治体でVTuberを運用していく上で大切なポイントを3つ紹介します。
1.VTuber運用専属のスタッフを用意する
個人問わずVTuberの人数が増えことから、気軽にできると思われやすいのですが、「VTuber活動」は1回配信をするだけでもとてもに大変です。ただYouTubeで配信を行うだけではなく、次回の配信ネタを考えてサムネイルを作成し、動画投稿を行う。そして、X(旧:Twitter)で発信を行い、配信予告も行う。
最近は専業VTuber(VTuber活動を本業にしている方)が増えていますが、現在活動しているVTuberのほとんどが兼業VTuber(VTuber活動とは別で本業のお仕事がある方)です。本業で忙しい中で「VTuber活動」を行うことは非常に大変で、本業とVTuberの活動の両立ができずに活動休止や引退をするVTuberも少なくありません。
そこでクリエイティブの外部発注や連絡のやり取り、金銭面の管理などを担当してくれる事務的な役割を担うスタッフ。さらに、配信中にトラブルが発生した際にいつも相談・対処できるマネージャー的な役割を担うことができる存在は非常に重要になっています。
VTuberにはVTuber活動にしっかり専念してもらえるように、いつでも相談にのることができ、サポートに入れるようなVTuber運用の専属スタッフを用意しておくと良いでしょう。
2.業界のトレンドやニュースは常に追いかける
VTuberを運用する上で、VTuber業界のトレンドやニュースは常に追いかけるようにしましょう。
VTuber業界はかなり流動的であり、1年間の中でトレンドが二転三転大きく変化することもあります。またVTuber業界は比較的新しい業界であり、今もまだ成長過程であることから、たった1ヵ月でもさまざまな出来事が発生します。業界の風向きによっては、VTuberの運用方針を変えた方が良い場合も多々あるため、常に業界の動向を追っておく必要があります。
VTuber業界のトレンドやニュースを追いかける方法としては、主に下記の方法が挙げられます。
①日頃からVTuberの配信を視聴
②SNS・メディアをチェック
③ウェビナーへの参加
①日頃からVTuberの配信を視聴
運用しているVTuber以外のVTuberの配信を視聴することでトレンドを追う方法になります。
おすすめは、大手事務所に所属するVTuberの配信です。大手事務所に所属するVTuberたちは常にトレンドに合わせて配信を行っており、彼らを起点としてトレンドが生まれる場合もあります。
生配信は長すぎて視聴する時間がないという方は、配信の見所をピックアップした「切り抜き動画」でも構いません。日頃から人気VTuberの配信は視聴するようにしましょう。
②SNS・メディアをチェック
主にX(旧:Twitter)やVTuber情報専門メディアを日頃からチェックして業界内の出来事をキャッチする方法です。VTuber業界の有識者やVTuberのXアカウントをフォローして投稿をチェックしたり、VTuber情報専門メディアを定期的に読み、自らVTuber業界の最新情報をすぐにキャッチできるようにしておきましょう。
③セミナーへの参加
VTuberに関連するセミナーに参加して業界知識を勉強する方法です。セミナーに登壇する有識者の話は、インターネット上にはでていない情報がある可能性が高いです。積極的に有識者の話を聞く機会を設けると良いでしょう。
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誰でも無料で参加できるウェビナーですので、ぜひご興味ある方はご参加ください。
3.運用に関する振り返りの機会を作る
最後にVTuber運用を行う上で振り返りを行う機会を必ず作りましょう。
定期的に振り返りの機会を設けることで、目標に向かって正しい道筋でVTuberを運用できているか、活動方針がずれていないかを確認することが大切です。
また、活動を行う上でマイルストーン通りに進んでいるかも確認でき、もし達成していない場合はなぜ達成することができなかったのか原因を考えるきっかけにもなります。VTuberから活動のヒアリングを行うことも忘れないように。
VTuber運用を行う上での目標を達成するためにも、定期的に振り返りの機会を設けましょう。
企業・自治体によるVTuber運用は効果的!ぜひ運用もご相談ください!
今回はVTuberを運用したい企業・自治体の方向けに、VTuberの運用方法について解説いたしました。
広報施策の一環としてVTuber運用する場合、むやみにVTuberを活用するだけでは意味がありません。目標やスケジュールをしっかり設計して、VTuber自身の影響力を高めながら、企業・自治体のPRとしてVTuberを効果的に活用していくことが重要です。
VTuberの運用が上手くいけば、大きな影響力になるとが考えられ、間違いなく企業・自治体の広報として十分な活躍が期待できます。今回の記事で解説をしたVTuberの運用方法とコツをぜひ実践してみてください。
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