今回の記事のテーマは「VTuber マーケティング」です。
業界外でも注目され始め、近年はVTuberを活用した企画がネットニュースにとどまらず大きな話題になるなどの、事例が増加してきています。
多くの話題性に溢れた企画やイベントニュースを見て、VTuberを活用して何か面白いことをやってみたいと思っている企業の方も多いのではないでしょうか?
今回は「VTuberマーケティング」について、VTuberを活用して企業・商品の宣伝や販促を行うメリット・デメリットを紹介します。
またVTuberマーケティングの成功事例もご紹介。どのような経済インパクトが出ているのか知りたい方はぜひ最後までご覧ください。
もっと具体的なVTuber活用や、事業者さまの業種・やりたいことに合わせた企画設計やフローを知りたい方は、
ぜひ弊社uyetの事例集もご覧ください。
『Z世代に強い!失敗しないVTuber活用
5つのマーケティング事例』
- VTuberと一緒に開催したい企画がある
- 現在VTuber活用を検討していて相談先を探している
- 自社の商品・サービスをもっと若い世代・多くの人に広めたい
“VTuberマーケティング”とは
ここ最近耳にするようになってきた「VTuber マーケティング」
まだ聞き馴染みがないため、どういったマーケティング手法なのかよくわからない方も多いと思います。
YouTubeで高い人気を集めている「VTuber」を活用・起用したマーケティング手法。
「インフルエンサーマーケティング」の一種として説明されることが多いですが、生配信を中心としたリアルタイム性のあるコンテンツと、熱量の高いファンとVTuberの関係から生まれるエンゲージメントの高いプロモーション・PRができることで、注目を集めています。
具体的には企業や自治体がユーザーに対して商品やサービス等を宣伝・販促する際に、VTuberを起用し商品やサービスなどの魅力を発信します。
例えば、VTuberが企業や商品のPRキャラクターを務めたり、YouTubeでの配信中にVTuberが商品の宣伝や販促を実施したり、テレビCMや広告にVTuberが出演したりとさまざまな方法が取られます。
VTuber業界が他業界でも注目される理由
2023年に「株式会社矢野経済研究所」が発表したデータによると、2016年に「キズナアイ」が誕生したことにより始まったVTuber業界は、年々市場規模は増加傾向にあります。今後も規模の拡大が期待されている業界です。
業界外でも「VTuber」の存在というのは注目され始めており、今や地上波のテレビや街中の広告でもVTuberの姿がみられるようになりました。まさに「VTuber」は日本のアニメやコスプレ文化に次ぐ、エンタメカルチャーになる可能性の高いコンテンツになっています。
地域の町おこしや認知アップのPRなど、地域創生の面でも注目を集めている
エンタメ業界での活躍が活発なのはもちろんのこと、VTuberのファン・視聴者と身近な距離感を持てるインフルエンサーとしての活躍は、地域のPRや町おこし、地方創生の面からも注目されています。
株式会社uyetの事業「まちスパチャ」では、VTuber業界と地域を掛け合わせ、新しいふるさと納税の形を提供するプロジェクトとして、多くのVTuberのみなさんに参画していただきシティプロモーションを行いました。
【岡山県新見市】ふるさと納税寄附数は一昨年の約2倍を記録
まちの認知アップとふるさと納税の拡大に成功
岡山県新見市さまと「まちスパチャ」プロジェクトを通し、ふるさと納税の拡大や市の魅力を発信するシティプロモーションを実施。新見市さまへのインタビューも掲載。
にじさんじ所属VTuberが与えた経済的インパクト:志摩スペイン村広報大使
三重県のテーマパークである「志摩スペイン村」が大手事務所「にじさんじ」所属のVTuber「周央さんご」とコラボイベントを実施しました。
「志摩スペイン村」と言えば、来場客が少ないのをネタにしてPRをしていることで一時期話題になったテーマパークであり、このPR施策によって国内から注目されるようになったものの、来場者が大幅に増えることはありませんでした。
そんな中で周央さんごさんが配信内で「志摩スペイン村」を話題としたことで、「志摩スペイン村」とのコラボイベントが実現しました。
・イベント期間のうち2月〜3月の来場者数は23万6000人と前年の約1.9倍の来場者が訪れた。
・周央さんごが配信で紹介したチュロスは1日平均1000本の売上を叩き出し、例年の約33倍の売上を記録。
志摩スペイン村の調査では「周央さんご」とコラボイベントのデータとして、以下のように公表しており、かなり高い効果が出たことが上記のデータよりわかります。
2023年の反響を受けて、2024年は「にじさんじ」所属の「周央さんご」さんと「壱百満天原サロメ」さんが志摩スペイン村の「バーチャルアンバサダー」を務めることが決定しています。
VTuberマーケティングを行うメリット・活用が増える理由
では、次にマーケティングで「VTuber」を活用するメリットを紹介します。
VTuberを活用するメリットとしては主に下記が挙げられます。
- メインファンの若年層をターゲットに宣伝・販促ができる
- ファンの口コミや良質な「UGC」が効果的な販促になる
- YouTuberやインスタグラマーよりも効果が出やすい
- VTuberが認知拡大の「きっかけ」になる
1.Z世代を中心とした若年層をターゲットに熱量の高いPR・プロモーションができる
VTuberは10代〜20代を中心に人気の高いコンテンツです。
SheepDogの調査では「10代男性の半数以上はVTuberの配信動画を視聴している」という結果が出ています。また、男女問わず10代〜20代の4割ほどがVTuberの配信動画を視聴しており、若年層から根強い人気を獲得していることがVTuber起用が進む大きな要因です。
また10代〜20代は非常にトレンドに敏感で、インターネットやSNSに抵抗のない世代でもあります。日頃からインターネットで流行をキャッチし、また自分達がいいなと思ったものはインターネット上で拡散・シェアを行い。
この拡散が積み重なることで、国内でのバズが発生することもあり、トレンドを10代〜20代が作っていると言っても過言ではありません。
よって、若年層に人気の高い「VTuber」を活用することで若年層への宣伝・販促ができ、国内で流行を作ることができる可能性が高くなってきます。
2.ファンの口コミや良質な「UGC」が効果的な販促になる
若年層への露出を増やし、トレンド性を生む要因として良質な口コミや素直な感想などの「UGC(ユーザー生成コンテンツ)」が生まれやすいことにあります。
YouTuberのファンが多くのUGCやSNS投稿を行うタイミングは、「YouTuberのライブ配信をやっているタイミング」が中心です。放送中のリアクションはYouTubeコメントだけではなく、関連するSNSでもハッシュタグなどを使って活発に行われます。ファン同士はコメント以外の部分で交流を行うなど、VTuber業界は自発的なコメント・口コミが広まりやすい市場が完成しています。
この現象はVTuber業界だけではなく、SNSツールが身近な存在になった頃から生まれている一つの新しい情報共有の形。
テレビで人気のドラマやアニメなどが放送されている時、番組の内容をつぶやいたりリアクションを起こすことで、遠く離れた人とも同じものを楽しんでいる共感性・リアルタイム性を楽しむ文化として根付きはじめています。
こうした時代の流れにVTuber業界は非常に相性が良く、YouTuberやインフルエンサーマーケティングに続いて、令和のマーケティングトレンドと言っても過言ではありません。
▼「UGC」についてもっと知りたい方はこちらの記事もおすすめ
3.YouTuberやインスタグラマーよりもファンと配信者の信頼性が強く効果が出やすい
皆さんの中もはインフルエンサーと聞くと、「YouTuber」や「インスタグラマー」のイメージが強いのではないかなと思います。
インフルエンサーとは多くのファンを抱え、世の中や世間に対して大きな影響力を持つ方々のことを指します。
実はその中でも「VTuber」のファンのみなさんは、その熱量・エンゲージメントが高い方が多い傾向にあります。
・YouTuber:YouTubeに動画を投稿するインフルエンサーのこと
・インスタグラマー:Instagramに写真を投稿するインフルエンサーのこと
特にYouTube上でのスパチャの投げ銭国内ランキングでは、30位中VTuberが28人ランクインしており、今若者世代に人気のYouTuberグループ「コムドット」や音楽グループ「Repezen Foxx」よりも投げ銭されています。
以前はYouTube界のレジェンドである「Hikakin」よりもVTuberが投げ銭をされた記録も残っており、このデータよりVTuberファンの熱量の高さを理解していただけるのではないかと思います。
よって、VTuberはYouTubeやインスタグラマーよりも熱量の高いファンの方がたくさんいるため、この熱量の高さがマーケティングに良い影響を与えています。
4. VTuberが認知拡大の「きっかけ」になる
ネットで話題のVTuberは、10代〜20代の中で人気が高まるとともに、幅広い世代でVTuberに対する認知が広まってきています。
現在大手事務所に所属するVTuberをはじめとして、地上波のテレビ番組やCM、街中の広告やネットニュース、雑誌などといったあらゆる日常の中でVTuberを目にするようになりました。さらに有名人や芸能人をバーチャル化・VTuberにして販促・PRする企画も出始めています。
有名人のVTuber化で、話題性を高めて認知アップにつなげることも
芸能人や歌手・アイドルなどのもともとテレビやメディアで有名な人を「VTuber化」することで、話題性を高める方法もあります。
もともとのファンや人気に相乗してバーチャルタレント化することで、ファンは新しい一面を発見できる、まだ知らなかった人にも知ってもらえる機会をつくる、新しい企画やエンターテイメントコンテンツの展開ができるなど、活用の幅が広がっています。
▼「嵐」の二宮和也さんがVTuberに扮して出演しているテレビCM
▼元モーニング娘。のメンバー後藤真希さんがVTuber化、懐かしの名曲を披露
まだまだインターネット上のコンテンツでの活動が中心の「VTuber」は、業界をよく知らない方に取っては目新しいコンテンツという認識の方が多いです。そのため、VTuberを活用することで世間で話題になりやすく、インパクトのあるPRを行えます。
またVTuberを起用することで、企業や商品を知らない人に対して企業や商品を知っていただける、または商品を購入していただけるきっかけ作りができます。
VTuberを活用する際の注意点
次に「VTuber」を活用するデメリットについても紹介します。
VTuberを活用するデメリットとしては主に下記が挙げられます。
- 基礎知識やノウハウがないと効果が出にく
- VTuberのマネジメントができないと効果が下がる
- 炎上対策・リスク防止に力を入れて、企画設計・マネジメントする
① 基礎知識やノウハウがないと効果が出にくい
VTuber業界は独特な文化を持っています。
業界内でしか使用されないような専門用語があったり、業界内でのタブーがあったりと比較的濃い文化を持つ業界になっています。
このような独自の文化をもつ業界で生きる「VTuber」を活用する場合、業界の知識がないとうまくVTuberとコミュニケーションをとることができません。
近年ではVTuberの数が増えると共に多様性が認められつつありますが、VTuberもタレントなので、最低限の基礎知識をつけた上で企業側も対応しなければ、仕事として成立しなくなってしまいます。またVTuber マーケティングを行う際、業界の知識がないとVTuberの魅力を最大限に発揮した企画設計を行うことができません。
効果的な宣伝・販促を行うためには業界知識のみならず、「VTuber マーケティング」を行う際の企画設計ノウハウも必要になってきます。
② VTuberのマネジメント・教育体制がないと効果が下がる
VTuberを起用するならば、しっかりとVTuberにやってほしいことを伝えたり、指示を行うことはとても大切です。よって、タレントに対するマネジメント能力というのは、VTuberに限らずすべてのマーケティングの施策において重要な事柄といえます。
しかし、VTuberに対してルールを設けすぎると、VTuberたちの良さが生かされなくなってしまうため、VTuberたちが活動しやすく、かつ自分達がやりたいことをできるような程よい度合いでマネジメント管理を行う必要があります。
特に大人数のVTuberを起用する場合は非常に大変です。
やってほしいこと・やってほしくないことをはっきりと伝えて、しっかりタレントたちのマネジメントを行うようにしましょう。
③ 炎上対策・リスク防止に力を入れて、企画設計・マネジメントする
VTuber マーケティングに限らず、どのような施策にも「炎上リスク」に対して、対策や防止策を講じておく必要があります。
VTuberはインターネット上で表に立つタレントなので、いつでも「炎上」のリスクがつきまとっています。何気ない一言が切り取られてしまい、炎上に繋がるということも少なくありません。企業・商品の宣伝・販促を行う際にマイナスの影響をもたらしてしまう可能性もあります。
起用したVTuberが普段の活動で「炎上」してしまっても、そのVTuberを起用したという事実は変わらず、炎上が企業のブランドイメージに飛び火してしまうこともあります。
よって、炎上リスクの少ないVTuberを起用したり、起用するVTuberたちに炎上対策をレクチャーするなどして事前に予防をしておく必要があります。
経済効果を生んだVTuberマーケティングの事例3選を紹介!
最後に、VTuberマーケティングの成功事例を紹介します。
実際に数字が出ている事例ばかりなので、VTuber マーケティングがどれだけ効果的なのかわかりやすいと思います。ぜひ最後までチェックしてみてください。
① にじさんじ所属VTuberによるシャンプー商品のPR
女性向けのシャンプー「ululis(ウルリス)」を販売するヘアケアブランド「H2O」が、大手VTuber事務所「にじさんじ」に所属する3名のVTuberとコラボを実施しました。
こちらのコラボ企画では、各VTuberとの限定商品セットが販売されるとともに、3名のVTuberたちでPR配信を実施しました。
配信はVuber3名がシャンプーにちなんだクイズに解答したり、3人のイメージカラーにちなんだ「推しのお薦めシャンプー」を設定して紹介するという内容で、最高同時接続数は約1万8000人に上りました。
またTwitterでは企画に関連したツイートが約1万7000件も投稿され、コラボ企画の限定商品セットが生配信終了後10分以内に1200個が購入されました。
② 埼玉バーチャル観光大使「春日部つくし」
VTuberの「春日部つくし」は2021年から「埼玉バーチャル観光大使」に任命されました。
現在まで埼玉県が運営しているYouTubeチャンネル「ちょこたび埼玉」に度々出演したり、地元のイベントにも出演したりして、埼玉県を盛り上げる活動を行っています。
なんと「ちょこたび埼玉」に春日部つくしが出演し始めてから、YouTubeチャンネルのチャンネル登録者数は1年半で15倍に急増。また春日部つくしがガイドを務めるバスツアーの参加者を県物産観光協会が募集したところ、販売開始から1時間半で定員数に達しました。
他にも生配信を実施した際に関連する物販サイトのアクセスが2倍に増えたりと「埼玉県」の地域活性化の一躍を担っています。
③ VTuberがJAタウン販売商品を紹介「バーチャル物産展」
「バーチャル物産展」は株式会社uyet(ゆえっと)が定期的に開催している、VTuberが売り子となって地域のおいしい食べ物を応援・つながりを生み出すイベント。2022年、2023年と2年連続でJA全農が運営する「JAタウン」とコラボをしています。
「JAタウン」の主な利用者層は30代後半から50代であり、今回共同で「バーチャル物産展」を行うことで、これまで利用が少なかった若年層に販売サイトを利用してもらい、新しい顧客の創出を狙って例年開催されております。
2022年は約1200人のお客様に来場いただき、2023年は2000人以上ものお客様にお越しいただきました。
また商品をご購入いただくことはもちろんですが、Twitter上でのイベント関連ツイート数は1週間で10400件を記録し、多くの方にイベントをお楽しみいただきました。
VTuberマーケティングという新しいプロモーションをぜひご検討ください
今回は「VTuberマーケティング」についての解説と、最近のVTuberマーケティング成功事例をご紹介しました。
VTuberマーケティングは正しく適切に行えば、想定していたよりも大きな効果を得ることができます。そのためには、業界知識やVTuberマーケティングを行う上でのノウハウが必要です。ノウハウのないまま闇雲に企画を行ってしまうと、企業のイメージダウンにつながるリスクもありますし、想定していたよりも宣伝・販促効果が小さくなってしまうこともあります。
- VTuberはZ世代を中心に人気のある、まだまだ成長と発展が見込まれる業界
- VTuberは身近な存在。ファンを中心に口コミや生の声が生まれやすい特徴がある
- 起用するVTuberの性格、経歴、ファン属性などさまざまな面を意識した企画設計が必要
VTuberを起用したマーケティング企画やPRを検討している企業担当者のみなさま、まずはVTuber業界に深い知識を持つ専門企業にぜひお気軽にご相談ください。
もっと具体的なVTuber活用や、事業者さまの業種・やりたいことに合わせた企画設計やフローを知りたい方は、
ぜひ弊社uyetの事例集もご覧ください。
『Z世代に強い!失敗しないVTuber活用
5つのマーケティング事例』
- VTuberと一緒に開催したい企画がある
- 現在VTuber活用を検討していて相談先を探している
- 自社の商品・サービスをもっと若い世代・多くの人に広めたい