近年VTuberが商品やサービスをPRしたり、企業・自治体の”顔”となって広報活動を行っている事例が増加しており、大手企業だけではなく自治体・行政でもVTuberの起用は増えてきています。
またVTuber事務所が所属タレントを募集するだけでなく、企業がテーマや企画に沿ったVTuberユニット・グループを立ち上げ、認知向上や事業展開を狙うといったパターンも2023年から増加傾向にあります。
VTuberたちが配信活動に集中できる環境を整えられるのは、企業や組織の力。雇われるVTuberとしても企業や事務所にオーディションから入って、そうした環境を手に入れたい・仕事にしたいと思っている方は多いです。
この記事では、オーディションでVTuberを募集したい・最適な演者を採用したいと考える事業者様や事務所運営者様のために、失敗しないVTuberオーディション開催のポイントをお伝えします。
VTuberオーディションの種類
VTuberオーディションの種類は、主に下記の2つに分類されます。
① VTuber事務所によるオーディション
事務所に所属するタレントを募集するパターン
② 企業・自治体によるオーディション
広報・PRを担当するVTuberを選出するパターン
1つ目は「事務所の所属タレントを募集するために開催されるパターン」であり、こちらのオーディションはVTuber事務所やタレント育成を行っている企業が実施することが多いです。
2つ目は「広報やPRでVTuber活用するために開催されるパターン」です。この場合は広報やPRに力を入れていきたい企業や自治体が実施することが多くなっています。
VTuberオーディションの方法を紹介
オーディションでVTuberを募集する場合、企画の性質やプロジェクトに合わせたオーディション計画を立てる必要があります。
詳しくは後述しますが、最初に一般的なVTuberオーディションの形を見ていきましょう。
一般的な3つのVTuberオーディションの方法
●主なオーディション形式
- 演者(中の人、魂)のみを募集するオーディション
- オーディション通過者に合わせてアバターを用意して起用する
- すでに活動歴があり、実績のあるVTuberだけを募集する
1.演者(中の人、魂)のみを募集するオーディション
すでに決められたアバター(※)や属性を持ったキャラクターに合わせた最適な演者を募集するパターンです。
審査基準として重要になってくるのは、決められた役割や設定を演じられるか、またキャラクターの魅力を引きだせるかどうかです。
▼参考事例:サンリオの新規VTuberプロジェクト「にゃんたじあ」
2.オーディション通過者に合わせてアバターを用意して起用する
オーディションを通過した人に合わせてキャラクターデザインを用意し、活動をしてもらうパターンです。
活動歴がない・未経験者から応募される可能性も高く、より多くの人にチャンスがあることから魅力的に感じやすいオーディション形式になっています。
▼参考事例:大手ホロスターズ(通過者にはキャラクターデザインをプレゼント)
3.すでに活動歴があり、実績のあるVTuberだけを募集する
PR案件や販促企画を依頼する場合は、すでに自分のVTuberモデル・チャンネルがあり活動拠点がある人を募集することで、効果的に商品の宣伝などの活動を行ってもらうことができます。
また事務所に所属するVTuberを探す場合、1からVTuberを育てるよりも、すでにVTuberとして活躍している方に所属してもらった方が事務所としてメリットが大きいことは確かです。
このパターンは経験者のみの応募になるため、スカウトが行われることが多いです。
特にVTuberを活用してPR案件や販促企画を行いたいと思っている方は、VTuberのキャスティングやマーケティングサービスを提供している会社に依頼する方が、自社でオーディションやスカウトを行うよりも早くまた希望通りのVTuberをアサインしてもらえる可能性が高いです。
オーディションかキャスティング(スカウト)にするか判断するポイント
① 長期間に渡る企画・プロジェクトはオーディションに向いている
VTuber事務所が所属VTuberを募集する場合や企業や自治体がプロダクション・企画を通してVTuberに活動を依頼する場合は、オーディションで活動にコミットしてくれる演者を選出する方法が向いています。
多くのVTuberグループや企業VTuberなどはオーディションをから採用されることがほとんどです。
最適な演者を選べるメリットはあるものの、オーディションの開催そのものが大変で採用までに数ヶ月を要するため、長期的な計画を立てる必要があります。
- 企業VTuberとしての起用
- PR・広報担当など専属VTuber(宣伝大使やアンバサダーなど)
- テーマや属性を決めたコンセプトグループとしてデビューさせる
PRイベント、販促企画など短期間で終了するならキャスティングが良い
一方でPR・販促系の企画ですぐにVTuberたちに商品やサービスのPRなどをしてほしい場合は、オーディションでは準備や設計に時間がかかるため不向きといえます。
経験者のみ・活動中の人だけなど条件を絞って開催することもできなくはありませんが、すでに活動中で企画に合う方をスカウト・キャスティングする方法もあります。企画に対して最適なVTuberをアサインして、一時的に協力してもらう方が早く、VTuberの影響力を借りることができるでしょう。
- 企画やイベントの趣旨に合わせてVTuberを募集する
- 販促やイベント系は複数人を起用して盛り上げる必要性がある
事務所向け:所属Vオーディションを実施する時の準備
オーディションでVTuberを募集するのは「採用」とほぼ同じ。VTuberにはキャラクターを演じる演技力やトーク力が必要になり、プロジェクトによっては歌、ゲーム実況、バラエティ色の強い柔軟な対応力など、さまざまな要素を意識して採用基準を設ける必要があります。
VTuber事務所がVTuberオーディションを実施する場合は、事務所に所属するタレントを探す場合によく行います。オーディション応募者の中から自社で育てていく人材を探す、まさに「採用」と同じ目的でオーディションは行われます。
VTuber事務所がVTuberオーディションを実施する場合、下記の流れでオーディションの準備を行います。
- 活動内容やフォロー体制、採用フローを計画する
- オーディション形式を決める
- オーディションの募集要項を決める
- 募集に向けてのPR・告知の準備をする
またオーディションを実施する時点でVTuberモデルの制作が必要であれば、キャラクターデザインの制作期間も考慮しなくてはいけません。
① 活動内容やフォロー体制、採用フローを計画する
オーディションを行うからには、活動にしっかりコミットしてくれる演者を起用したいもの。採用と同じように良い演者に出会うためには「この事務所に入りたい!」と思ってもらえる要素が必要です。
活動内容やフォロー体制、採用フローはオーディション開催時の募集ページを作成する上でもオーディション説明を行う上でも事前に決めておきたい内容です。
▼活動内容やフォロー体制、採用フローを計画を立てる流れ
まずはどういったVTuberを作りたい・育てたいのか、VTuberのコンセプトを決めましょう。
オーディションを行う理由はさまざまですが、「コンセプトやテーマがないものに応募しよう!」と考える人はほぼいない
はず。大手事務所には必ず「目的やテーマ」さらには「理念・ビジョン」があります。そのオーディションを通過したVTuberがどのような活動ができる可能性があるのかを伝える必要があります。
VTuberオーディションに参加する方は、事務所に入ることで得られる恩恵に注目しています。
自分好みのアバターを制作してもらえる、配信画面を作ってもらえる、未経験ならライブ配信の設定フォローがあるなど、
応募する側にとってサポートの手厚さはそれだけでも応募理由になる魅力があります。
しかし、丁寧なフォロー体制やサポートが受けられるのは、募集要項に沿った活動にコミットしてもらうことが大前提。
採用後のトラブルや、募集要項に沿ってない応募者を減らすためにも、両方の情報をしっかり見せましょう。
今回タレントを募集する目的やオーディションのコンセプトに合わせて、事務所としてどういった人材が欲しいのか考え、オーディションでの採用基準や面談での質問項目を決定しましょう。
通常は上記のような流れで活動内容やフォロー体制、採用フローを計画していきます。これらを最初にしっかり決めておくことで、オーディションを実施する方針がぶれずオーディションを実施することが可能です。
ポイント①:VTuberが活躍できる企画、ぶれないコンセプトを決める
オーディションを行う理由はさまざまですが、「コンセプトやテーマがないものに応募しよう!」と考える人はほぼいないはず。大手事務所、専門プロダクション、企業・自治体の企画にも必ず「目的やテーマ」さらには「理念・ビジョン」があります。
その企画の目的や目指すゴール、そのオーディションを通過したVTuberがどのような活動ができる可能性があるのかを伝える必要があります。
▼参考事例:メタおばあちゃんプロジェクト
1期生オーディションの応募条件は、75歳以上の女性のみという制限があっても、60人以上の募集に成功しています。
ポイント②:VTuberモデルの制作は数ヵ月かかる、計画は余裕を持って
もしオーディション実施時にすでにキャラクターデザインが必要な場合は、オーディション開始前からキャラクターデザイン制作を進行しなくていけません。
VTuberモデルの制作過程にはいくつもの工程があり、実際にライブ配信で動かすまでにはかなり時間がかかります。モデルの制作を担当するクリエイターの確保が必須です。
特に人気のイラストレーター・モデラーは新しい案件に着手するのが、1〜2ヶ月先と言うことも珍しくありません。依頼を希望したいクリエイターがいる場合は、まずスケジュールを打診しましょう。依頼するモデルの規模感によっても制作期間や予算が変わるので、早めに見積もりを取っておくにこしたことはありません。
またキャラクターデザインを依頼するには、企画に沿ったキャラクターコンセプトを決める必要もあります。キャラクターの方向性が決まっていないとイラストレーターやクリエイターは制作に入ることができません。
② どういった形でオーディションを行うかを決める
今回の記事では一般的な「公開オーディション」を例に解説をしていますが、VTuberオーディションにも非公式・限られた人にだけ情報を開示する方法もあります。
企画のテーマやコンセプトによって、特に最初の印象を決定づける1期生のメンバーは、どちらの方法が最適か検討してもよいでしょう。
●公開オーデイション
一般的なオーディションの開催方法で、広くたくさんの人に告知や宣伝を行い応募を募る方法です。
経験者から未経験者まで、募集要項を細かく定めない限りいろいろな方が集まります。また審査通過後にVTuberモデルを作る場合は、より未経験者が多く集まる傾向があります。
●非公開オーディション
広く募集を行わず、限られた範囲やつながりがある人にだけ告知をしてクローズ状態で行う方法です。
外部に情報を出せない企画や、特殊なスキル・ニッチなジャンルなど、広く募集しても最適な演者から募集が見込めない場合にも有効な手段です。
しかし、非公開オーディションは事前に養成学校やVTuberコミュニティ・ネットワークを持つ企業と関わりを持っていないと実践しにくい方法です。
弊社uyetでは、独自のVTuber業界ネットワークを持っているため、非公開オーディションでも最適な人材を見つける手助けや、企画に最適なVTuberオーディションの支援も行えます。
③ オーディションの募集要項を決める
一般的な採用と同じように、オーディションの募集要項も決めておく必要があります。
主に年齢や想定している活動時間・活動方法の方針オーディションの際に求めるスキルや人物像など一般的な採用と同じように情報は整えておきましょう。ここの設定が不十分だと、採用基準に外れた応募者が増えて選考も大変になってしまいます。
- 年齢制限(主に18歳以上〜)/性別の指定(必要であれば)
- 想定する稼働時間 / 稼働内容(月○時間以上、週○回以上の配信など)
- 必須スキル、歓迎スキル
- 理想とする人物像など
- 給与体系(時給制、固定の給料制、成果報酬制 など)
- 注意事項
ポイント①:採用の審査フローは連絡時期や回数を明示、経過連絡のトラブルを防ぐ
最初のオーディションでは、ある程度の募集期間と審査期間、審査の回数を掲載しておきましょう。
オーディションを開催しない限りどれくらいの募集者があるかわからないものです。
想像以上の募集があり、書類審査だけでも膨大な時間を要することもありますから、期間はやや余裕を持たせて設定しましょう。
また採用フローが長期にわたる場合は、どのタイミングで通過者に連絡をするか、期間や日時の目安があると不要な問い合わせを防げるかもしれません。
▼主なオーディションの採用までの審査フロー
④ 募集にむけてのPR・告知の準備をする
VTuberオーディションに限らず、人に集まってもらう企画で重要なのは告知やPRです。
募集ページを公開すれば勝手に人が集まってくるなんてことはありません。オーディションの開催日に合わせて、事前に周知活動を行っておくことが大切です。
特に事務所やプロジェクト自体がこれから始まる場合は、事前の周知やPRに力を入れて計画を立てましょう。SNSを先行して運用を始めるなど、とにかく情報が公開されるタイミングに向けて盛り上げる動きが必要です。
応募者が増えるのは”募集開始すぐ””終了間近””追い込み施策のタイミング”
オーディションの募集が盛り上がるタイミングは3つです。
- 募集開始すぐ
- 追い込み施策のタイミング
- 終了間近
●もっとも熱量が高い募集開始時
最初に力を入れるべきは募集解禁のタイミングです。
事前にオーディションの存在を周知できていれば、募集開始のタイミングで狙っていた人はすぐ応募してくれます。事前に今日のために準備を進めていた人もいるでしょうから、開始時に申し込みがある人は熱量が高いと見込まれます。
また募集開始時はSNS更新や宣伝を行いやすいタイミングのため、事前に周知ができていなかった層に向けても積極的に拡散を促す投稿や動きをしていきましょう。
●中だるみを防止する追い込み・差し込む施策
募集期間が長いオーディションの場合、開始から少し落ち着くと募集がパタリと止むタイミングがでてくるかもしれません。申し込みの準備や様子見をしている人など、宣伝活動も動きにくいタイミングですが、募集を追い込みたいなら終了期限や申し込み状況を告知するなど、盛況であることやまだ募集をしている旨を引き続き伝えることが大切です。
●締め切りラッシュ、滑り込みが期待できる終了間近
人は締め切りや期限がなければ、なかなか行動に発破がかかりません。
準備をしている人が滑り込んで来る可能性が高く、募集を追い込むなら終了の1週間前を目安にカウントダウンや締め切りの周知を行いましょう。
下記のグラフはリアル・オンライン問わず多くのイベント募集ができるサイト「Peatix(ピーティックス)」の調査レポートです。イベント公開からどのタイミングで応募が集中するかを調べたグラフです。オーディションを一つのイベントと捉えると、下記の情報と同様の人の流れが予測できます。このようなデータから、いかにして募集者の興味を引くかが課題になります。
プレスリリースは多くの人に見られる機会を意図的につくれてPR効果が大きい
VTuberオーディション情報を手に入れるのに、とても役立つのは「プレスリリース配信サイト」
特に「RPTimes(ピーアールタイムズ)」は大手事務所から、日本中の多くの企業がリリースを発信しているためオーディション情報を探す方法としてもオススメしています。リリースの掲載には1通3万円ほどかかります。
弊社uyetでも、弊社が独自に情報を集めて編集した「VTuber/Vライバー事務所カオスマップ」のプレスリリースは、配信時に掲載した記事へのPVが通常のアクセス数より圧倒的に増えました。当メディアサイトでもリリース掲載記事を用意しておりますので、ぜひご覧ください。
企業・自治体向け:広報・PR担当Vオーディションを実施する時の準備
広報やPRに力を入れたい企業や自治体の方がVTuberオーディションを実施する場合も、VTuber事務所がVTuberオーディションを実施する場合と同様のステップで準備を行います。
広報やPRに力を入れたい企業や自治体の方がVTuberオーディションを実施する際の目的は、以下の2つのいずれかの目的であることがほとんどを占めます。
① イベント・企画に参加するVTuberを選定するオーディション
② 企業・自治体が運用するVTuberの「中の人」を決めるオーディション
VTuber事務所がVTuberオーディションを実施する際と同様の手順でオーディションの準備を進めていきます。
- VTuberに活動してもらう企画やプロジェクトの設計する
- オーディション形式を決める
- オーディションの募集要項を決める
- 募集に向けてのPR・告知の準備をする
1.VTuberに活動してもらう企画・プロジェクトを設計
VTuberを活用してイベント・企画を開催、また広報・PRを行うからこそ、企業や自治体がやりたいことに対してしっかりと理解してくれる演者を起用したいもの。
そのために、重要なのは「企画やプロジェクトそのものの設計」です。
採用と同じように、良い演者に出会うためには「一緒に企画をもりあげたい!」と思ってもらえる要素が必要です。そして企画設計の中に、VTuberの採用計画も組み込んでおく必要があります。
ここで決める企画やコンセプトは、オーディション開催時の募集ページを作成する上でもオーディション説明を行う上でも事前に決めておきたい内容です。最初にしっかり決めておくことで、計画を頓挫させないためにも決めておきましょう。
- VTuberが活躍・活動できる企画、ぶれないコンセプトを決定する
- 採用するVTuberの活動内容、フォロー体制、採用後のフローを考える
- 企画やテーマに最適なVTuberを選ぶ採用基準・面接でなにを聞くのか決める
▼VTuberマーケティングの戦略方法や企画設計については下記の記事で紹介しています。
② どういった形でオーディションを行うかを決める
次にどういった形でオーディションを行うのかを決定します。オーディション方法を決める際に重要なのは、オープンでの募集か、クローズドでの募集か以外にも決めるべき点があります。それは実際にオーディションでどういった審査方法を取るのかという点です。
VTuber事務所で行われるオーディションでは、一般的に2次〜3次ほど審査が続き、その中で書類審査から面接審査が組み込まれます。一方で企業や自治体が起用するVTuberを決める際に行われるオーディションは、どのようなオーディション形式が多いかは一概に言えません。
起用VTuberを決めるオーディションの場合は、オーディションでよく見られる審査方法である「面接」を行う方法のほかにも、オーディションイベントを開催して起用するVTuberを決めるといった方法もあります。
面接でのオーディションの場合、実際にタレントとコミュニケーションをとることでそのタレントの人となりを知ることができる一方で、オーディションイベントを開催するメリットとして、イベント開催することでオーディション参加者のやる気度や強さを図ることが可能となる点があります。
よって、どういったタレントを起用したいのかから逆算してオーディション方法を決めると良いでしょう。
VTuberを公募しても、採用基準にあるタレントや企業や自治体が起用したいVTuber像にピッタリ合うタレントが必ず集まるわけではありません。また企画やプロジェクトが魅力的に見えないと、実力のあるVTuberたちは応募をしてくることはほぼありません。
企業や自治体が起用したい基準に合うタレントを絶対に起用したい方やVTuber活用の効果を最大限にしたい場合は「VTuberキャスティングサービス」を利用すると良いでしょう。
現在VTuberの人気の高まりとともに、「VTuberキャスティングサービス」を提供する企業が増加してきました。uyetでも「VTuberキャスティングサービス」をご提供させていただいておりますので、もし気になる方がいらっしゃいましたらご連絡ください。
VTuberキャスティングサービスについて気になる方は下記のURLをご確認ください。
https://uyet.jp/casting/
③ オーディションの募集要項を決める
VTuber事務所がオーディションを行う際と同様に、企業や自治体が起用するVTuberを決めるオーディションを行う際はタレントの採用基準を決めておきましょう。
現在活動しているVTuberのほとんどは「兼業VTuber」です。
普段は別の仕事があり、趣味や副業としてVTuber活動をしている方がほとんど。VTuber活動だけで生活ができているのは全体の1割程度と言われています。最近はクリエイターがセルフ受肉(自分でキャラクターデザインやモデリングを行って活動を始めること)をして、本職を生かしたVTuber活動を展開したり、兼業でも精力的に活動をされる方も増えています。
例:しぐれういさん(イラストレーター)
例: 珈琲紳士の部屋(イラストレーターlackさん)
多くのVTuberは兼業の状況を踏まえて募集時の要項は設計し、稼働時間や給与は面接で同意を得られるようにしましょう。
④ 募集にむけてのPR・告知の準備をする
VTuber事務所がオーディションを行う際と同様に、企業や自治体が起用するVTuberを決めるオーディションを行う際も募集にむけてのPR・告知の準備をしっかりと思いましょう。
オーディションの審査基準の設け方
VTuberオーディションの開催準備に当たり、事前にしっかり決めておきたいのは「審査基準」です。
とくにVTuber業界にこれから参入すると言う場合には、たくさんの個性的な演者から募集があり、誰を採用するか迷ってしまうかもしれません。自分の好みでつい選んでしまいたくなる側面もあるでしょう。
しかしオーディションの企画やテーマに合わせて活動ができる演者を選ばなければ、一生懸命活動してもらってもその個性を生かせなかったり、コンセプトがぶれてしまい企画自体の魅力を損なってしまう原因になるなど、慎重に選ばなくてはいけません。
VTuberオーディションで審査のために最低限聞いておきたいこと、基準設定の考え方を紹介します。
1.VTuberとして自己PRができるか、強み・やりたいことを伝える力は必須
VTuberオーディションを受ける側が最も力を入れているのは「自己PR」です。
その書類・動画の情報から、次の面談やスキルテストなどに進んでもらう人を選ばなくてはいけません。
募集者が多ければ多いほど、最初の選考に要する時間は膨大になります。
例えば、自己PR動画に5分の制限を設けたとしても100人から募集があれば、それをチェックするだけでも8時間以上かかります。
また複数人で審査を行う場合は、通過ラインを審査メンバー内で決めておきましょう。
- 応募者の大半は書類・動画選考でふるいにかけることになる
- 次のステップへの通過基準・ラインを審査メンバー全員で決めておく
- 事前にチェックリストや情報確認をスムーズにできるよう内部のフローを決めておく
VTuberの審査基準はタレントの起用と似ていて、うまく基準や選び方がわからない場合もあると思います。
弊社uyetでは、3000人以上のVTuberと仕事をしてきた業界に詳しい専門スタッフが採用基準の作り方もサポートできます。
開催前から困りそうだと不安がありましたら、ぜひご相談ください。
2.経験の有無・ライブ配信の経験があるかを審査に含むか決める
経験の有無を不問とした場合、ライブ配信の経験がないいわゆる「未経験」の方が多く募集されるかと思います。また中には、個人でVTuber活動をしたことはあるけれど、うまく伸びなくて事務所やどこかに起用してもらいたいという方もいるはずです。
経験・未経験問わず、自己PRや自分が配信をするならば何ができそうか、どのような貢献をしたいと考えているか、しっかり話せる方を次のステップに進んでもらいましょう。
過去に何らかの事務所や個人でVTuber活動をしていた経験がある方は、なぜ引退をしたのか聞ける範囲で確認しておきたいところです。元所属などは守秘義務の関係でいえないこともあるでしょう。引退した理由がポジティブなものや所属元がなくなったなどであれば問題ありません。
しかし、何らかのトラブルを起こしたことで引退したなど、採用に慎重にならなくてはいけない場合もあるからです。
とはいえ、経験者を起用できるメリットは大きいはず。ぜひ詳しく話を聞いてみると良いかもしれません。
3.リスナーを楽しませるトーク術や配信にのぞめるか意識をチェック
VTuberは誰でも素敵な見た目を手に入れられます。
しかし声やトークは、個性や持ち味としてそれぞれの演者がスキルを磨いてもらう必要がある要素です。
多くのライブ配信では、長時間VTuberの声やトークをリスナーは聞くことになります。
VTuberのコアなファンは「ライバーの声が好き」「笑ったときの声が好き」「リアクションの反応が最高」など、見た目と声がマッチしたキャラクター性やトークから感じる人柄に魅力を感じるからこそ、配信活動を長く応援してくれます。
そのためリスナーのことを無視したトークしかできない、聞いている人が不快感や面白くないと感じる話し方など、演者の努力や意識付けで改善できる要素をおろそかにしている場合は、活動を続けるのは難しいでしょう。
自己PR動画や面接では単純な声の良さ・発声やトークのうまさだけではなく、演者の人柄・リスナーへどんな意識を持って配信に望むのかをチェックしたいところです。
4.歌唱やダンスなど企画・テーマに合わせたスキルや技術を持っているか
企画やプロジェクトのテーマに、必須のスキルや知識が必要な場合は、必ず事前の審査でスキル・技量の確認をしたいところです。
書類や動画で確認が難しい場合は、二次審査でスキル・技量のチェックを行う審査基準を設ける・必須スキルについての面接を行うなどの対応を検討しましょう。
特にゲーム実況や歌唱、バラエティ配信のような臨機応変な対応力を求める場合は、独自の採用基準を設けることもあります。
例えばゲームプレイ実況一つをとっても、プレイ技術は一流だが一切話せなくなることをキャラの個性にしても問題がないのか、プレイとトークの両立が重要なのか、プレイのうまさより楽しそうな様子や宣伝がうまいことが重要なのか、企画コンセプトによって重視することは異なるでしょう。
最適な演者を見極めるために、独自の審査基準も必要に応じて設けましょう。
5.配信環境を整えられるか、機材や配信関係のスキルチェック
VTuberとして活動するならパソコンやマイク、カメラなどの配信に必要な機材を揃えられるかは確認しなくてはいけません。
高級な機材を用意する必要はありませんが、最低限自分の環境で何を揃えるべきなのかわかっている方であれば、リモートやオンラインでもサポートを行いやすいでしょう。
もしパソコンやOBG(オービーエス:画面や動画のキャプチャに使える便利なツール)に関する知識も、自分で配信活動を行うなら必須のスキルです。
応募時に知識がなかったとしても、勉強する意思があるか、想定しているサポート範囲で収まるのかは、確認しておきたいところです。
- 配信ができるスペックがあるパソコン
- マイクやWebカメラなど(PC付属のマイクは音質が悪いので避けるべき)
- 3Dモデルの場合は、キャプチャソフトが必要
- OBSstudioの知識
- YouTubeのライブ配信の知識
- 配信画面、配信フレーム、アイキャッチ画像が作れるデザインツール・スキル
- 動画編集や動画の切り抜きなどができるツール・スキル
- SNSへの告知画像を自力で作れるスキル など
6.稼働時間や活動方針を守り、活動をしたい意思があるかどうか
最後はこれから企画やプロジェクトを一緒に進めるに当たって、活動方針に合意できるか、そして活動の意思があるかどうかも確認しなくてはいけません。
どれほど企画に最適な演者であっても、企画コンセプトに納得していなさそう、活動ルールを守れないなど、企画側と演者の気持ちが同じ方向を向いていなければ一緒にやっていくことは難しいでしょう。
スキルや応募条件に問題がなければ、最後は「ともに活動を続けられるか」が重要です。
VTuberを起用する企業にとっても、VTuberにとってもオーディションでできた縁は特別なもの。お互いにこれからも時間をかけて活動に取り組むには、演者の熱意や誠実さなどを確認する必要があります。
採用メンバーや関係者にとっても、採用したいと思える人を選び抜きましょう。
オーディションや募集をする際の注意点
多くの人に募集をしてもらえるように、運営元の信頼面を獲得する準備も整えましょう。
現在、VTuberオーディションで検索すると「オーディション 闇」や「オーディション 怪しい」など、悪質なオーディションサイト・事務所勧誘の被害からマイナスな検索ワードがたくさんでてきます。
情報リテラシーが高く、悪質なサイトへの募集を避けたい人は、本当は誠実に運営している事務所や企業、企画であったとしても、信用できる情報がないことで募集をしない人もいるはずです。
そうならないためにも、信頼できる情報を開示して実態のある事務所・企業だと伝えましょう。
1.運営元情報や信頼できる企業・事務所である情報を出す
VTuberプロダクションやマーケティング企画によっては、リアルの事務所を持たずに活動をしている場合もあるでしょう。しかし運営者の連絡先、運営責任者の名前、運営に関わっている人数や規模感の情報は掲載できるはずです。
ドメイン料金を数千円払えば、無料のHP作成サービスで誰でも独自のWebサイトを作れる時代。
ネット検索で販売元や情報を検索してから購入する人が大半の中で、Webやネットに情報を掲載せずに信頼できる運営者と証明するのは難しいでしょう。
●個人情報を預かるなら「プライバシーポリシー」も必須
また「プライバシーポリシー」もオーディションで応募者の個人情報を預かるならば必須です。
本来は弁護士や専門的な知識を持っている方に依頼するのが最も信頼性が高いですが、最近はHP作成ツールやWordPressでもデフォルトで作成漏れがないようにひな形が用意されてるほど、Webサイトには必須の情報とされてます。
必ず作っておき、応募者が確認できる箇所に設置しましょう。
2.応募者の個人情報の管理に気をつける、ヒューマンエラーは起きるもの
オーディションを開催すると、応募者の氏名や性別、メールアドレスなどさまざまな個人情報が手に入ります。
個人情報を取り扱う際には、情報漏洩のリスクや手作業の整理・管理で起きるヒューマンエラーに注意しなくてはいけません。
情報管理ツールなどを使い、収集した情報が外部に漏れることや誤送信がないようにシステム面と対応スタッフの体制を決めるなど、事前に情報漏洩のリスクを意識しておきましょう。
企業・法人なら「kintone(キントーン)」を導入すると、プログラミングの知識がなくてもセキュリティが強固な業務システムの構築ができます。
今すぐ導入ができないとしても、人の手で対応が間に合わなくなるタイミングがくることを想定して早めの検討がオススメです。
3.VTuberへの教育体制やサポートができるメンバーを揃えておく
VTuberオーディションが終わると、本格的に運用や配信活動が始まります。
事前にVTuberに詳しい人がいるから企画が行われているとしても、運用や教育の他にもVTuberの活動が始まれば、配信の手配や配信に必要な画像の作成やクリエイターへの依頼などさまざまな継続的な業務が発生します。
担当者を増やすための内部教育やVTuberのマネジメントなど、想定していなかった役職やサポートが必要になる場合もでてくるでしょう。
オーディションでの採用から、最初のお披露目配信を終えて活動が軌道に乗るまで、プロジェクトが頓挫しないようスタッフのケアや教育面も意識しておきましょう。
オーディションは「採用」と同じ!成功するかは計画と準備で決まる
今回はVTuberオーディションの開催ガイドとして一般的な公開オーディションを例に挙げながら、最低限決めるべきことや、応募者に集まってもらう企業やプロジェクトの責任を果たすためにも意識することも解説しました。
オーディションに限らずVTuberを起用して、長期間ともに活動を続けられる相手を探すのは「人材採用」と同じです。VTuber特有の審査基準を理解し、その上でぶれない企画・コンセプトを設計し準備に取り組む必要があります。
- オーディション準備から採用までを含めたVTuberが活躍できる企画設計が重要
- VTuber独自の審査基準や見るべきポイントを決めて採用フローをつくる必要がある
- オーディション計画が難しければVTuber業界に詳しい専門企業に依頼・相談で失敗は防げる
もしも今回紹介したオーディションの準備・設計が「難しい」と少しでも感じたら、ぜひuyetにご相談ください。
妥協して半端な状態で開催するよりも、専門家のアドバイスを得て最適な演者候補がたくさん集まるオーディション設計を行いましょう。
ともに活動を頑張れるVTuberを採用できれば、今後の企画やプロジェクトが生み出す売上や可能性を大きく広げられます。
またオーディション支援だけではなく、VTuberのキャスティングもご提案できます。企画内容に合わせてぜひお気軽にご相談ください。