2025年8月もVTuber業界では事務所の解散や決算発表など、VTuber業界にとって大きな出来事が相次ぎました。
この記事では、2025年8月を語る上で欠かせないトピックスを厳選し、uyetの代表プロデューサーKANAIとリサラボくんが出来事を解説させていただきます。
この1か月で業界にどのような変化があったのか、一緒に振り返っていきましょう!
1. スターダスト 自社のVTuber解散発表

出来事の概要
2025年8月4日、スターダストプロモーションは、自社のVTuberプロジェクト「STARDUST VIRTUAL STUDIO(SVS)」を9月30日で解散すると発表しました。公式Xで「現在の体制を維持しVTuber事業を継続することが困難であると判断した」と説明し、突然の報告になったことをファンに謝罪しました。
SVSは2021年7月に始動し、「VTuberを通じて世界に通用する新しいエンターテインメントの価値を創出する」ことを掲げて活動。七海めあり、千空えいる、乙葉れい、大河れおん、パル・パチップ、水色碧といったタレントに加え、グラビアアイドルの岸明日香も所属していました。
発表によれば、XやYouTube、TikTokなどの公式アカウントは9月末をもって更新を停止・削除。所属タレントの今後については現在も協議中で、決定次第それぞれのSNSで順次発表される予定です。
<解説>

芸能事務所を運営する企業が事業撤退という結果になったことがVTuber事務所ビジネスの特徴を一つ証明していると思います。IPでもあり、タレントでもあるVTuberをマネジメントしていくにあたり、SNSから生まれたコンテンツであることを踏まえた運営が重要になります。
いまのSNSのアルゴリズムやトレンド、SNSユーザーの好みなどをとらえた運営ができないと、VTuber事務所の安定運営は難しいということを証明するニュースでした。



芸能事務所や大手企業が自社VTuber事業を立ち上げてから、ちょうど数年が経過しました。今はまさに「事業を続けるのか撤退するのか」の判断が迫られる時期です。当初、にじさんじやホロライブの成功を期待して参入した場合、思った以上に風当たりは強いでしょう。
収益性だけではなく、自社アセットや外部とのネットワークなど、シナジーをどう生み出すかを考えなければ、この領域を維持するのは難しいフェーズに入っています。
2.星街すいせい、Forbes JAPAN「30 UNDER 30」に選出


出来事の概要
2025年8月25日発売の『Forbes JAPAN』10月号で、ホロライブ所属VTuberの星街すいせいさんが「世界を変える30歳未満の30人(30 UNDER 30)」に選出され、雑誌の 表紙を飾るとともに 4ページにわたるロングインタビューが掲載されました。VTuberとしての枠を超えた評価を受けていることがうかがえます。
<解説>



この数年でVTuberが1ネットコンテンツからマスから受け入れられる存在に変わってきていることを証明するニュースでした。
実写のアーティストと同じ会場での音楽ライブや地上波のテレビ出演など、VTuberは近年活躍の舞台を広げてきました。星街すいせいさんがビジネス雑誌で注目する存在としてフォーカスされるだけにとどまらず、表紙になった点において、話題性が高い存在であることとVTuberが広く受け入れられるタイミングになったことがわかります。



これは業界として、本当に大きな出来事でした。選考委員にバーチャル美少女ねむさんの推薦があったとはいえ、それを差し引いても驚くべき快挙といえます。
大衆向けの「マス受け」とは少し異なるベクトルですが、社会的に注目される舞台で堂々と評価されることは業界の露出を大きく押し上げるものです。最近では星見まどかさんのように、エンタメ領域だけでなく公の場で称えられるVTuberが増えており、今後もこの流れは広がっていくと見ています。
3. 周央サンゴ × 志摩スペイン村 コラボイベント第3弾


出来事の概要
バーチャルライバーグループ・にじさんじ所属の周央サンゴさん(愛称:ンゴちゃん)と三重県のテーマパーク「志摩スペイン村」とのコラボイベント第3弾の開催が決定しました。開催期間は2025年11月1日から2026年1月12日までで、園内では周央サンゴさんと縁のあるライバーたちとのスペシャル企画として、周遊ラリー、アトラクション、コラボフードやオリジナルグッズ、フォトスポットなどが展開される予定です。
このコラボは、2023年・2024年に続く3年連続のコラボであり、周央サンゴさんが配信内で志摩スペイン村を熱く語ったことがきっかけで始まりました。その後、バーチャルアンバサダーに就任し、各年に実施されたイベントは来園者数や売上に大きな反響を見せました。
SNSでは、志摩スペイン村公式アカウントによる発表に対してファンから「嬉しすぎる」「3年連続でコラボしてくれるのありがたい」といった歓喜の声が多数寄せられており、その人気と信頼の厚さがうかがえます。
<解説>



VTuber自身が自ら良さを発信して、公式に仕事として依頼がきて、数年間続く関係性になる。まさにVTuberと企業の繋がりの理想形であると言えます。ビジネスとしても、長期間にわたって繰り返されることで、ファンのなかでの純粋想起がされやすくなります。
こうした取り組みがふえて、VTuberと企業の双方にとってプラスになる関係性が増えることを願います。



今回のコラボについて特筆すべき新しい論点は少ないかもしれません。むしろ「過去の成功をしっかりと積み重ね、3年連続で続いている」という事実そのものが価値でしょう。
4. カバー株式会社 四半期決算発表


出来事の概要
ホロライブ運営のカバー株式会社が発表した、2026年3月期第1四半期(2025年4月〜6月)の決算は、以下の通り好調な内容でした。
売上高:96.29億円(前年同期比+50.1%)
「hololive OFFICIAL CARDGAME」の好調な販売が業績を牽引し、マーチャンダイジング分野を中心に収益を押し上げました。
営業利益:9.72億円(前年同期比+16.5%)
売上成長に比べて利益伸び率が低いのは、海外事業展開や表現技術向上などの先行投資によるものとされています。
セグメントごとの内訳は以下の通りです。
・マーチャンダイジング分野:前年同期比で約2倍に成長
・ライブ/イベント分野:前年同期比+24.0%
・配信/コンテンツ分野:前年同期比+6.9%
特にカードゲーム事業やライブイベントの海外展開が業績に大きく寄与しています。
今回の四半期決算は、カードゲームやイベント事業の拡大によって売上が大きく伸びる一方、海外展開や技術投資によるコスト増で利益率には課題が残る内容でした。
短期的には堅調な成長を示しつつも、今後は新規事業を収益源に育てられるかどうかがカバー社の次の焦点といえます。
<解説>



引き続き成長を続けている点が注目に値します。マーチャンダイジングが伸びている点において、タレントとしての側面はもちろん、IPとしての側面も広がりを見せています。上場2社はいずれも成長を続けており、まだまだ業界が持つポテンシャルの高さを感じます。



売上は好調でしたが、タレント稼働への依存度が依然として高い収益モデルであることが株価にもネガティブに映っています。経営陣も解決の糸口を探しているようで、先日のインタビューからもその姿勢がうかがえます。
他社と違い、カバー株式会社はカードゲームやメタバース領域への先行投資を進めています。こうした施策が今後1〜2年でどのように収益化につながるのか、その行方は業界的にも注目ポイントです。
5. コミケとVTuber


出来事の概要
2025年8月16日・17日に開催された「コミックマーケット106(夏コミ)」では、VTuberコンテンツの注目拠点として、企業ブースと同人ブースの双方から強い存在感が示されました。
- 企業ブースでは、VTuber事務所の公式出展が盛況に
◻︎カバー株式会社の「ホロライブプロダクション」は、『hololive OFFICIAL CARD GAME』を中心としたブースを展開し、イベント限定グッズやノベルティ、MV上映などを実施しました。
(出典:https://hololivepro.com/news/20250711-02-27/?utm_source=chatgpt.com)
◻︎また、ソニー・ミュージックのVTuberプロジェクト「VEE」も出展し、バーチャル売り子やトーク企画「VEE Radio Summer!」などリアルな接点を提供する企画が行われました 。
(出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000249.000049041.html?utm_source=chatgpt.com)
- 同人ブースにもVTuber関連の創作が多数登場
にじさんじ関連イラストレーターたちによる複数のサークルが参加し、ファンアートや同人誌など多彩な頒布が行われました。
会場全体では例年に劣らぬ熱気となり、2日間で25万人以上が来場、9000人超のコスプレイヤーが参加するなど、VTuberジャンルも含めたジャンル横断的な盛り上がりが見られました。
<解説>



VTuber業界/Vライバー業界ともにこのイベントにどれだけうまく関われるかで界隈からの受け入れられ方が大きく変わる点で、企業にとっても非常に重要なイベントになってきています。



同人ブースの出店数が着実に増えており、ブルーアーカイブに次ぐ規模感にまで成長しています。一方で、VTuber企業ブースは例年よりも落ち着いた印象で、大手は自社の販売力がある分、無理にファンを取り込むよりも進行中のプロジェクト露出に力を入れていたようです。中堅・新興の事務所は積極的に仕掛けを行っており、層ごとの戦略差が見えました。
また、IRIAMも毎年しっかりと存在感を示しており、コミケにおけるVTuber関連の多様な広がりを支えています。
まとめ:今後もVTuber業界から目が離せません..!
今回の記事は、2025年8月にVTuber業界で発生した出来事を解説させていただきました。
毎年8月はコミックマーケットや決算などの大きな出来事が起こりがちなVTuber業界ですが、今年も様々な出来事が発生しました。今回はその中でも比較的大きな話題になったトピックスを取り上げましたが、他にも驚くような出来事が多数発生しています。
VTuber業界はエンタメの中でも流れの早い業界であるため、目が離せませんね!ぜひ皆さんもVTuber業界に注目してみてください。