VTuberやVライバーの事務所を立ち上げてみたい、自分でライバーをプロデュースしてみたい、V業界で起業したい。
V業界はまだまだ成長段階にある若い業界で、事務所の新設やV業界で事業をしたいと考えるみなさんに向けたノウハウや情報がとても少ない状況です。
この記事では、V業界の最前線で複数の事業を展開する「株式会社uyet(ユエット)」が監修を行い、VTuber/Vライバー事務所立ち上げの具体的な準備・ステップを解説します。
タレント事務所の新設に失敗したくない、本気で自社プロダクションを成功させたいとお考えのみなさまは、ぜひ最後までご覧ください。
事務所設立の前に知りたい「良いタレント事務所」3つの定義
タレント(VTuber/Vライバー)のみなさんが入りたいと思う「良い事務所」とはどのような事務所でしょうか。手厚いサポートや大手であることなど、タレントさんの表面的な欲求を満たすだけでは良い事務所とはいえません。
uyetメディアの考える良い事務所とは、以下の3つの要素が必要だと考えています。
- タレントが集まり続ける「独自のブランド」がある
- タレントが事務所に居続けたいと思うサービス提供がある
- タレントが成長できる事務所だからこそのフォローがあるか
事務所を立ち上げたいという熱意だけでは、タレントは集まってくれません。
関わったタレントが不幸にならないためにも、決めるべきことや運営者が知っておかなくてはいけない知識や考え方を解説します。
1.事務所独自のブランドがあり、タレントが入りたいと思えるか
最初に軸がブレないためにも固めておきたいことは、「独自のブランド」があることです。
タレントがその事務所に入りたいと感じ、集まり続けてもらうために「他の事務所とどのような差違があるのか」が非常に重要です。
弊社のリリースしている事務所カオスマップからも分かるように、VTuber・Vライバーともに事務所の数が非常に多いことから、タレントにとっての選択肢が多いのが現状です。
自社の競合が多くいる状況から、「あなたの事務所に入りたい」と思わせるブランドを考えなくてはいけません。まずはブランドについて分解して知っていきましょう。
独自のブランドを成立させる重要な2つのポイント
「ブランド」の広義には、あるサービスにおいて、他の同サービスやカテゴリーを区別するためのあらゆる概念、消費者からのイメージ総称などを指すことが多いです。
今回はより具体的な立ち上げ設計のため、下記2つのポイントを満たすことが独自のブランド設計であるとして解説します。
1.ポジショニングが確立できているかどうか
ポジションの確立に必要なのは、その事務所がもつ他事務所と比較した時の「差違」です。
例えば、ゲーム配信に特化した事務所を作りたいと仮定したら、他のゲーム特化の事務所とどう違うのか。さらにその違いが、「タレントが求めている差違であるか」がもっとも重要な観点になります。
独自性やとがった個性を主張するために、常識破りなことをしたり、誰も真似したくない・できないことを差違にしてはいけません。
ファンションで例えるなら、人の注目を集めたいといって、裸で街中を歩いてはいけない。
独自性のあるファッションブランドは、人が着てみたいと感じる違いの中に魅力があり、それが多くの人の手に渡り、ポジションを確立する要因となっています。
2.人から好感を持てるPRができているか
さらに、あなたの事務所が「人から見て、良いと思ってもらえる事務所になっているか」ということもタレントに集まってもらうためには常に意識する必要があります。
飲食店に例えると、どんなに提供される料理が素晴らしくても、店内の雰囲気や清掃、サービスが不十分ではいいお店とは言えないと思います。料理だけではなく、お店全体をどうよく見せてお客様に来てもらえる努力やPRも大切です。
タレント事務所も同様に、タレントへのサービスや気配り、運営の振る舞い、活動のフォローやホームページの印象、SNSの発信に至るまで、外から好感を持ってもらえるように意識してPRをすることが重要となります。
2.タレントが長く居続けたいと思えるサービスがあるか
良い事務所の定義の2つ目は「タレントがこの事務所に居続けたいと思うサービス提供があるか」です。
これはタレントへのサポート体制や教育面だけの内容ではなく、その事務所に入ることで、タレントが目指しているゴール・やりたいことが事務所に所属し続けることで叶えられるかが重要になります。
タレントは「個人でできないことを事務所の力を借りて叶えたい」と潜在的に考えて事務所を選んでいます。
事務所の持つネームバリューやリソース、法人・企業としての信頼などの力を借りて、個人活動ではできないことを叶えるために事務所を頼ります。所属しているタレントが喜ぶ、事務所のブランドに沿ったサービス内容を整える必要があります。
参考例:「ミリプロ」大手音楽レーベルとの合同オーディションでメジャーデビュー
「ミリプロ」は、音楽会社『ユニバーサル ミュージック』内の邦楽レーベルである『EMI Records』と提携したオーディションを実施し、所属メンバーの「音ノ乃のの」さんが上記レーベルでメジャーデビューを果たしました。
事務所でライバー活動をサポートしつつ、音楽領域での成長も支援できる体制が整っています。
(※上記動画内の募集期間は終了していますが、特設ページでは引き続き募集中)
参考例:「ぶいめし」食特化ユニット、バーチャル物産展コラボなど日本の特産品をPR・出会える機会がある
食に特化したVTuberユニット「ぶいめし」は、「食の文化」に関心が高いVTuber3名を中心に、食にまつわる配信活動や1日限定でゲリラ型リアルレストランの開店、移動式食堂で日本全国のおいしい特産品のPRなどを行っています。ネットを飛び越えたリアルの活動や、「バーチャル物産展」とのコラボなど、食の魅力を伝えるスペシャリストとして活動されています。
3.タレントの成長のために投資ができるか
最後はこれまでのブランドを維持し、タレントが居続けたいと思うサービス提供を通して、タレントが成長できる環境を作るための「投資ができるか」です。
事務所を運営しタレントに集まってもらうためには、所属メンバーが成長しながら、生き生きと活動している様子が見えなければいけません。所属メンバーにとっても、事務所にいる意味が無いと感じたら退所されてしまうでしょう。
このように事務所の生命線であるタレントの成長を支えることは、事務所の運営に必要不可欠です。限りある時間と資産をどのように投資するかは、経営判断も必要になるでしょう。
タレントへの所属メリット・成長できる環境づくりに投資し続けられるかどうかが、事務所を立ち上げた後の運営で非常に重要となります。大変ながらもやりがいがある部分といえるでしょう。
VTuber事務所を立ち上げる流れ・準備フロー
実際にVTuber/Vライバー事務所を立ち上げるために、必要な流れ・準備フローを解説します。
少し大変な部分もあるかもしれませんが、事務所を立ち上げてから問題が起きるリスクを減らすためにも、立ち上げから資金調達、そして運用面までの流れ全体をぜひ最後まで確認してください。
事務所立ち上げの流れ
- 事務所のコンセプト、ブランディング、ポジションを決める
- 事務所に入ってほしいタレントのターゲット像を決める
- タレントに提供するバリュー、サービスを決める
- どれくらい稼げるか、マネタイズの算段を立てる(事業計画)
- 資金を集める、調達する
- 事務所を構える(ホームページや必要であれば法人設立など)
- タレントを集める(集客)
- オーディションを開催・審査する
- タレントと契約する
- タレントをプロデュースする
ステップ1〜3:事務所のコンセプトやタレントターゲットなどを決める
ここまでにご紹介した「良い事務所の3定義」を意識して事務所の設計を考えてみましょう。
この設計が甘いまま事務所の立ち上げをスタートしてしまうと、タレントが集まってくれなかったり、立ち上げる前に計画が頓挫する可能性も大いにあります。
- 事務所のコンセプト、ブランディング、ポジションを決める
- 事務所に入ってほしいタレントのターゲットを決める
- タレントに提供するバリュー、サービス決める
同時にすでにある事務所のリサーチや業界の分析も忘れてはいけません。
ステップ4〜5:事務所のマネタイズを考える・資金を調達する
事務所のコンセプトなどの設計ができたら、事業として収益・マネタイズ面を考えましょう。 収益を上げなければ事務所の運営が立ちゆきません。
VTuber事務所の収益化方法は、主に4つの方法を事務所のブランドやコンセプトに合わせてバランス良く調整する必要があります。
▼事務所の収益化方法
- タレント収益を一部還元してもらう:投げ銭、ファンクラブ、など…
- グッズ制作・販売で収益を得る
- イベントで収益をあげる
- 事務所を大きくしてM&Aする
実際に事務所を立ち上げないと分からない部分もあるかもしれませんが、事務所が動き出してから収益の設計が曖昧では運営が立ちゆかなくなるリスクがあります。
まずは約1年間の事業計画を立てましょう。
必要であれば資金調達・法人化も検討
事務所の運営が安定するまでは資金繰りが不安定になるため、必要に応じて資金調達も検討してみましょう。資金調達のために、法人化が必要になることもあるでしょう。
ステップ⑥で説明する事務所の新設準備にも費用がかかるため、準備期間も含めてどれくらいの予算が必要かも事前に計画をたてることがオススメです。
ステップ6:事務所新設に必須なホームページや見せ方を整える
事務所の拠点となるホームページやSNS、PRに必要な準備を整えていきましょう。
VTuber/Vライバー事務所には、タレント募集の拠点になるWebサイト(ホームページ)が必須です。
タレントがこの事務所に入っていると自慢したくなるようなビジュアル、応募しても大丈夫と感じる信頼できる情報を掲載する必要があります。
そのため、ホームページの作成にはある程度の予算をかけて、しっかり見た目やロゴ、キャッチコピーなどの事務所のブランドを伝えられるホームページ・PRの設計を行いましょう。
また、ホームページだけではすぐにタレントに集まってもらうことは難しいため、SNSアカウントも作っておきましょう。
ロゴやキービジュアルなど、どの媒体を見てもあなたの事務所とわかるようにすることが重要です。
ステップ7:VTuber・演者を集めるために必要なこと
事務所の設計計画と立ち上げが完了したら、事務所の運営フェーズに入ります。
多くのタレントに集まってもらい、面談やオーディションを通して採用を行い、一人前のVTuber/Vライバーとして活躍してもらうためにサポートをしていきます。
集客は3つのステップを意識して、それぞれに対して最適な施策をとっていきましょう。
▼集客の3ステップ
- 認知
- 興味
- 申し込み
認知を広げる
事務所とタレントオーディションの存在を多くの方にまず知ってもらうための活動を始めましょう。
たくさんの人に見つけてもらうには、メディアへの露出が重要です。
▼メディア露出の例
- SNSで告知、PR活動を積極的に行う
- オーディションまとめサイトに掲載してもらう
- メディアサイト、プレスリリースを掲載する など
興味を持ってもらう
記憶に残す・興味を持ってもらうためオーディションページやホームページに、事務所独自のブランド、特徴がわかる情報をしっかり掲載しましょう。
見た目の印象やデザインにこだわることも大切です。
事務所の代表メッセージがある、マネージャーのインタビューや所属メンバーの声があるなどの、信頼できるコンテンツの掲載も効果的です。
申し込んでもらう
最後にオーディションに応募してもらうために「オファー」を用意し、申し込みの後押しをしましょう。
丁寧なサポートやイラストのプレゼントなど、事務所がタレントに対して提供するサービスをしっかり魅力的に伝えることが大切です。タレントにとって「申し込み」という行動は勇気がいることなので、必ずオファーが必要です。
ステップ8:オーディション・面談をする
オーディションとは、事務所の運営者にとって「採用」とほぼ変わりません。
応募してくれた人を全員合格にする分けにはいきませんから、明確に合格基準を設けておき、しっかり審査を行うことが重要です。
タレントさんのことを知る機会。タレントからの事務所のコンセプト・文化とがマッチするかを確かめる
事務所で活動することを前提にしっかり審査をする
※オンラインでも良い
※契約締結後にミスマッチにならないように、必要であれば複数回行っても良い
審査員はその人の魅力を見抜く分析力、人を見る目を磨く努力が必要
オーディションには、いろいろな個性や魅力を持つ方が応募してくれます。
所属タレントを選ぶ時は自分の感情や好みだけで選ぶのではなく、以下の2つを意識しましょう。
▼オーディションの審査で意識してほしい2ポイント
- その人の伸びしろ、魅力・才能を見つける
- 事務所コンセプトに合わない人を判断する審美眼
伸びしろ、魅力・才能を見つける
応募してくれた人のやりたいことや所属の意欲、その人の話を聞き、どのような魅力や個性を持っているかを判断しましょう。
そのためには、いま人気のVTuber・Vライバーがなぜ人気を得ているのか、魅力的な光るものを持つ人材をどう見抜くかは、審査をする人の目にゆだねられます。
「いい人が来ない」というのは簡単ですが、その「いい人」とはどんな人なのかをしっかり言語化し、審査基準に落とし込むことが重要になります。
事務所コンセプトに合わない人を判断する
一方で魅力や才能が溢れた方でも、事務所のコンセプトに合わない方や、募集規約を守っていない方、未成年などは面談でしっかり審査しなくてはいけません。
事務所に所属するということは、その人の人生の一部を預かることと同じです。 事務所は一つのコミュニティとしての役割も果たします。
気分や好みで選ぶと事務所のコンセプトがずれてしまったり、メンバー同士の関係が上手くいかない要因になりえるなど、さまざまな問題が起きるリスクがあります。
ステップ9:タレントと契約を結ぶ・プロデュースする
オーディションに受かった方としっかり面談・相談を行って、疑問や不安を解消してから契約をしましょう。
同様に、タレントに対しても事務所の文化やコンセプト、守ってほしい規約や契約内容、お金、権利のことについてしっかり説明を行って理解してもらいましょう。
契約で合意をとるべきこと
- 給与、報酬配分などのお金の話
- キャラクター(デザイン・イラスト)の著作権
- 名前の著作権
- SNS(アカウント)の権利
とくにお金の話や権利の話は、契約前に納得をしてもらいましょう。一回の説明で理解し切れていない場合は、繰り返し説明を行うことが必要になる場合もあるかもしれません。
ここで無理に契約を迫ったり、十分な説明を行わないままにすると、所属後に不安を感じられて辞退される可能性もあります。
お互いに良い関係を構築するためにも、お互いに納得して契約を結べるようにしましょう。
ステップ10:タレントのプロデュースする2ポイント
タレントさんをVTuber・Vライバーとしてデビューしてもらい、人気ライバーになれるようにプロデュースを行いましょう。
タレントをサポートするには多くの方法・アプローチがありますが、まずはこの2つを意識してタレントが求めるサポート、プロデュースを行っていきましょう。
1.タレントの目指すゴールを見つける
タレント一人一人が目指すゴールや事務所での活動を通して叶えたいことをヒアリングしましょう。
全員がお金を稼ぎたい、人気者になりたいというゴールを持っているわけではありません。
それぞれに叶えたい目標があり、その目標に向かえる活動を通して事務所に貢献する方法もタレントによって異なります。
オーディション時の面談で聞いてそれきりではなく、定期的にタレントとコミュニケーションを通して、共に事務所を成長させる仲間として叶えたいゴールを見つけてあげましょう。
2.タレントをゴールを叶えられるプロデュースを提供する
タレントの目標を叶えるために必要なものを、サービスとして提供しましょう。
基本的な配信のアドバイスやフォローだけではなく、事務所だからこそできるサービス提供があるはずです。ぜひどのようなサポートがあれば良いか、考えてみましょう。
▼VTuberへの提供サポートの例
- SNSのアルゴリズムを理解しフォロワーを伸ばす
- タレント自身のブランドを確立させるサポートをする
- 個人ではできない機会を提供する
- タレントの個性を伸ばすコンテンツを制作する
事務所の立ち上げやオーディション、V業界の相談はぜひuyetへ
今回はVTuber/Vライバー事務所の立ち上げ方について解説をしました。
VTuberというタレントの一人の人生の一部を預かることになる事務所運営。
ただ立ち上げるだけならできるかもしれませんが、多くのタレントとともに事務所を成長させるにはさまざまな準備と投資、そして熱意が必要になります。
- 良い事務所の定義を理解して、設計や投資の事業計画を立てる
- 独自のブランドを作るにはポジショニングと好感を持てるPRが重要
- タレントが個人ではできないことを叶えられる事務所のサービスを提供する
- タレントの成長のために投資をし続ける、タレントの成長は事務所の生命線
- オーディションの審査員は、魅力的な人を見抜く目を鍛える努力と分析力が必要
株式会社uyetでは、オーディションの支援からVTuberモデル制作の支援まで幅広いサポートを展開しています。また事務所タレントのVTuber活用やVTuberマーケティングの相談も受け付けております。
弊社にご興味を持って頂けましたら、VTuber活用事例集も配布しております。ぜひご覧ください。
(※法人企業のみ対象、資料送付には審査がございます)
もっと具体的なVTuber活用や、事業者さまの業種・やりたいことに合わせた企画設計やフローを知りたい方は、
ぜひ弊社uyetの事例集もご覧ください。
『Z世代に強い!失敗しないVTuber活用
5つのマーケティング事例』
- VTuberと一緒に開催したい企画がある
- 現在VTuber活用を検討していて相談先を探している
- 自社の商品・サービスをもっと若い世代・多くの人に広めたい