近年、VTuber・Vライバー市場の拡大に伴い、配信者の「メンタルヘルス」や「健康管理」への関心が高まっています。
「睡眠障害」や「精神的不調」などをはじめとする配信者の健康問題ですが、当事者311名を対象にした調査では、「約8割が体調不良でも活動を継続し、約7割が精神的不調を抱えている」という深刻な実態が浮かび上がってきました。
なぜ、多くのVTuberは限界を感じながらも「休むこと」ができないのでしょうか?
株式会社uyetが運営する「haicoオンラインクリニック」では、VTuber・Vライバー311名を対象に、睡眠・食生活・運動・身体症状・メンタルヘルス・医療機関への受診行動など全26項目について調査を実施しました。
本記事では、「VTuber活動と生活・健康に関する実態調査2026」の調査結果を基に、配信者が直面するメンタルヘルスの課題を紐解き、配信者の健康課題を考える上で重要な調査結果をご紹介します。
VTuber・Vライバー約300名から本音を聞く、配信活動のメンタルヘルスに関するアンケートから見えた5つの特徴
本調査は配信者の健康課題を特別視することではなく、一般的な就労環境とは異なる特徴があることを理解し、より良い配信者の働き方・支援のあり方を考えるための一助となるよう実施いたしました。
今回の調査から、配信者の健康課題について、次の5つの特徴が明らかになりました。
- 約9割が睡眠に何らかの課題を抱えている
- 約8割が体調不良でも活動を続けた経験がある
- 約7割が活動に関連した精神的不調を経験
- 配信者が医療に求めているのは「辞めること」ではなく「続けるための支援」
- 約7割が「相談するほどではない」と医療機関への受診を後回しにした経験
本調査結果が、配信者本人だけではなく、VTuber事務所やプラットフォーム運営企業、医療従事者、支援団体など、多様な関係者が健康支援について議論するきっかけとなることを期待しています。
「VTuber活動と生活・健康に関する実態調査2026」調査概要
| 調査名 | VTuber活動と生活・健康に関する実態調査2026 |
| 調査主体 | haicoオンラインクリニック(株式会社uyet) |
| 調査方法 | インターネットアンケート |
| 調査期間 | 2026年7月6日〜2026年8月9日 |
| 調査対象 | VTuber・Vライバー |
| 有効回答数 | 311名 |
| 調査項目 | 活動状況、生活リズム、睡眠、食生活、運動、身体症状、メンタルヘルス、医療受診、活動継続に関する意識など全26設問 |
■調査結果の取り扱いについて
本調査結果を引用・転載される場合は、「VTuber活動と生活・健康に関する実態調査2026(haicoオンラインクリニック/株式会社uyet)」を出典としてご記載ください。詳細な集計データやクロス分析を収録した完全版レポートについては、後日公開を予定しています。
■調査の留意事項
- 本調査は、VTuber・Vライバー311名を対象に実施したインターネットアンケートです。
- 回答は自主的な参加によるものであり、VTuber・Vライバー全体の実態を統計学的に代表するものではありません。
- クロス分析は回答者の自己申告に基づいて実施しており、関連性を示すものであって因果関係を示すものではありません。
- 自由記述は個人が特定されないよう、一部表現を調整・要約しています。
- 割合は小数点以下を四捨五入しているため、合計が100%とならない場合があります。
株式会社uyet 代表プロデューサー 金井 コメント

VTuber・Vライバー業界に携わる中で、体調を崩しても活動を続ける配信者や、不調を抱えながらも相談先が見つからず、一人で悩み続けている方と数多く接してきました。
その姿を見て感じたのは、「健康意識が低い」のではなく、「健康を優先したくても優先できない環境」が存在しているのではないかということです。
今回の調査では、その実感を裏付ける結果が得られました。
特に印象的だったのは、「活動を辞める前提ではなく、続ける方法を一緒に考えてほしい」という回答です。
配信は、多くの方にとって仕事であると同時に、自分自身を表現する場であり、視聴者との大切なつながりでもあります。
だからこそ、私たちは「活動を止めること」を前提とするのではなく、「活動を続けながら健康を守ること」を支援できる存在でありたいと考えています。
今回の調査が、配信者を取り巻く健康課題への理解を深め、より良い支援のあり方を考える第一歩となれば幸いです。
1.約9割が睡眠に何らかの課題。「睡眠時間」よりも「回復できない睡眠」が課題に
睡眠に関する設問では、約9割の回答者が何らかの睡眠上の悩みを抱えていることが分かりました。
最も多かった回答は「日中に眠気がある」で、続いて「寝ても疲れが取れない」「睡眠を削って活動している」「寝つきが悪い」などが続きました。

一方、睡眠時間については「5〜6時間」が最も多く、極端な短時間睡眠者だけが多いわけではありませんでした。

今回の調査からは、単純な睡眠時間という指標では図れない、「十分に眠っているつもりでも疲労感が残る」「睡眠で回復できていない」という配信者特有の課題が見えてきました。
このような結果になった原因として、夜間の配信やSNS対応、配信後の高揚状態など、活動そのものが睡眠の質へ影響している可能性も考えられます。
よって、睡眠時間だけではなく、配信者の健康状態を考える上で「十分に回復できる睡眠が取れているか」という視点で配信者の健康を見る必要性が示されました。
2.約8割が体調不良でも活動。「休めない」が配信者の健康課題として浮き彫りに
「体調が優れないにもかかわらず活動を続けた経験がありますか」という設問では、約8割が「ある」と回答。
今回の調査で最も特徴的だったのは、多くの配信者が体調不良を自覚しながらも活動を継続している点です。

活動を休めない理由を調査したところ、回答内容から「健康を軽視している」というよりも「休むこと自体が活動上のリスクになる」という理由が多いことがわかりました。

- 配信を休むと数字が下がると感じる
- 視聴者から忘れられることへの不安
- あらかじめ決めた予定を変更しづらい
- 活動機会を失いたくない
など
3.約7割が活動による精神的不調を経験。評価が見える仕事ならではの心理的負担
活動に関連して気分の落ち込みや不安を感じた経験について尋ねたところ、「ある」と回答した人は約7割となりました。

配信活動では、自身の活動に対する評価が日々可視化されます。
成果を毎日数値で確認する機会が多く、成果や反応がリアルタイムで返ってくる特徴があることから、配信活動は数字で可視化された評価と隣り合わせの環境に身を置くことになります。
- 視聴者数
- 同時接続数
- コメント
- SNSの反応
- イベント順位
など
そのため、小さな数字の変化やコメント一つひとつが心理的負担につながる可能性があります。
今回の調査でも、多くの回答者が精神的負荷を感じながら活動を続けている実態が明らかになりました。
精神的不調は、一部の配信者だけが抱える課題ではありません。活動を継続する上で、多くの配信者が日常的に向き合っている課題であることが分かりました。
4.配信者が求めているのは、「活動を辞める医療」ではなく「活動を続けるための支援」
配信者に医療関係者に理解してほしいことについて尋ねたところ、「活動を辞める前提ではなく、活動を続ける方法を一緒に考えてほしい」という回答が約6割で上位となりました。
また、配信者特有の活動環境への理解を求める声も多く寄せられました。

- 配信以外にもSNS運用や企画準備など多くの時間がかかること
- 数字や反応が精神状態へ影響すること
- 夜間・深夜に活動すること
- 身バレへの不安があること
など
これらの結果から、配信者が医療や支援機関に求めているのは、「活動を止めること」を前提とした助言ではなく、「活動を継続しながら健康を維持する方法」を一緒に考える支援であることが分かります。
さらに受診行動とのクロス分析では、医療機関への相談を後回しにする傾向がある回答者ほど、精神的不調を経験している割合が高い傾向も確認されました。
受診のしやすさだけでなく、「相談してもよい」と思える環境づくりも重要であることが示唆されます。
配信者に必要なのは、一般的な生活指導をそのまま当てはめることではありません。
配信文化や活動環境を理解したうえで、「活動を続けながら健康を守る」という視点から支援を設計することが、今後より重要になると考えられます。
5.「相談したい。でも相談できない」。受診を後回しにする実態が明らかに
体調やメンタルの不調を感じた際の対応について尋ねたところ、多くの回答者が医療機関への受診や相談を後回しにした経験があると回答しました。
その理由としては、「忙しくて受診する時間が取れない」「この程度なら我慢できると思った」「活動を優先してしまった」などが多く挙げられています。
また、「配信活動を理解してくれる相談先が少ない」「活動を辞めることを前提に話をされるのではないか」といった不安の声も寄せられました。

配信者の健康課題は、医療機関へのアクセスだけではなく、「相談してもよいと思える環境」や「活動を理解した支援」が十分ではないことにも起因している可能性があります。
不調が深刻化する前に相談できる仕組みづくりや、配信活動の実態を理解した支援体制の整備が重要であることが示されました。
「休みたい。でも休めない」配信者が医療関係者へ伝えたい4つのテーマ
今回の調査では、睡眠やメンタルヘルスなどの設問に加え、配信者が健康的に活動を続けるために必要だと思う支援や医療関係者に理解してほしいことについて自由記述でもアンケートを実施しました。
回答内容を分類したところ、多くの意見は以下の4つのテーマに集約されました。
① 「活動を理解した上で相談できる相手がほしい」
最も多く見られたのは、配信活動そのものを理解している相手へ相談したいという声でした。
医療やカウンセリングへのニーズがないわけではなく、配信文化への理解不足が相談のハードルになっている可能性がうかがえます。
「活動内容を一から説明しなくても理解してもらえる相談先がほしい」
「配信を知らない人には、生活リズムや仕事の説明から始めなければならない」
「一般論ではなく、配信活動を前提に相談できる場所があるとうれしい」
② 「辞めること」ではなく、「続ける方法」を知りたい
自由記述の中で繰り返し見られたのが、「活動を辞めることを勧められるのではないか」という不安の声でした。
これは、医療関係者に理解してほしいこととして最も多かった「活動を辞める前提ではなく、活動を続ける方法を一緒に考えてほしい」という回答とも一致しています。
「休めと言われるだけでは解決にならない」
「活動を続けながら改善できる方法を知りたい」
「辞めるか続けるかではなく、続けるための方法を一緒に考えてほしい」
③ 「休みたい。でも休めない」
今回の調査を象徴するテーマが、「休めない」という回答でした。
これらは、調査結果で明らかになった約8割が体調不良でも活動した経験があるという結果とも一致しています。
「休むと数字が落ちる気がして怖い」
「リスナーが離れてしまうのではないかと不安になる」
「体調よりも配信を優先してしまう」
「少し無理をしてでも予定どおり配信してしまう」
④ 「相談するほどではない」と思ってしまう
受診行動については、以下のような回答が多い傾向が見えました。
これは今回のクロス分析で確認された、医療機関への相談を後回しにする回答者ほど、活動に伴う精神的不調を経験している割合が高い傾向とも整合する結果でした。
「病院へ行くほどではないと思ってしまう」
「忙しくて後回しになってしまう」
「そのうち治ると思ってしまう」
アンケート分析から見えた、健康課題を抱えやすい人の行動パターンと傾向
単純なアンケート集計では、以下の実態が明らかになりました。
- 約9割が睡眠に課題
- 約8割が体調不良でも活動
- 約7割が精神的不調
さらに、クロス分析では「どのような行動を取る人ほど健康課題を抱えやすいのか」について分析を行いました。
①「休めない」人ほど、精神的不調を経験する割合が高い傾向
体調不良でも活動を続けた経験と活動による精神的不調との関係を分析したところ、体調不良でも活動を続けた経験がある回答者ほど精神的不調を経験している割合が高い傾向が確認されました。
本調査は横断調査であるため因果関係を示すものではありませんが、「休めない」という行動特性と精神的負担との関連が示唆される結果となりました。
②「相談を後回し」にする人ほど、精神的不調を経験する割合が高い傾向
医療機関への相談を後回しにする行動についても分析を行ったところ、相談を後回しにする回答者ほど活動に伴う精神的不調を経験している割合が高い傾向が確認されました。
この結果は、「医療機関が存在しないこと」が課題なのではなく、相談につながるまでの心理的・時間的ハードルが課題となっている可能性を示しています。
③睡眠時間だけでは説明できない健康課題
一方で、睡眠時間そのものと精神的不調との間には今回の調査では明確な関連は確認されませんでした。
しかし、睡眠に関する悩みや自由記述をあわせて見ると、睡眠の質に関する課題が多く挙げられています。
- 「寝ても疲れが取れない」
- 「配信後に眠れない」
- 「日中に眠気がある」
このことから、配信者の健康課題は「何時間寝ているか」だけではなく、活動時間帯や生活リズムを含めた睡眠の質にも着目する必要があると考えられます。
配信者の健康課題は、健康を優先したくてもできない活動環境に起因する可能性が高い
今回の自由記述とクロス分析を通じて見えてきたのは、配信者の健康課題は単なる生活習慣の問題ではなく、「健康を優先したくても優先できない活動環境」に起因している可能性があるということです。
多くの配信者は、自身の健康上の課題を認識しています。
それでもなお活動を継続する背景には、配信活動特有の構造的要因が存在していることが、定量・定性の両面から示唆されました。
- 配信頻度
- アルゴリズム
- 視聴者との関係性
- 収益
- 活動への責任感
「健康管理」の問題ではなく、「健康を優先しづらい働き方」の問題へ
今回の調査では、配信者の多くが睡眠や身体的不調、精神的な負担を自覚しながら活動を継続している実態が明らかになりました。
一見すると、「生活習慣の乱れ」が原因であるようにも見えます。しかし、調査結果を総合的に分析すると、それだけでは説明できない特徴が浮かび上がってきました。
約9割が睡眠に課題を抱え、約8割が体調不良でも活動を継続した経験があり、約7割が活動に伴う精神的不調を経験していました。
また、自由記述では「休みたいが休めない」「数字が落ちることが怖い」「活動を理解してもらえない」といった声が繰り返し寄せられました。
これらの結果は、配信者の健康課題を「自己管理ができていない」という個人の問題だけで捉えることの限界を示しています。
配信活動では、配信頻度やSNSでの発信、視聴者との継続的な関係性、アルゴリズムによる露出など、活動を継続すること自体が成果に結び付く構造があります。
そのため、「休む」という一般的には健康的な選択が、「活動機会を失う」「視聴者が離れる」「収益が減少する」といった不利益につながると認識されやすい環境にあります。
今回の調査は、配信者の健康課題が「生活習慣」だけではなく、クリエイターエコノミー時代における新しい働き方の構造的課題である可能性を示す結果となりました。
配信者支援は、「活動を止めること」から「活動を続けること」へ
医療関係者に理解してほしいこととして、「活動を辞める前提ではなく、活動を続ける方法を一緒に考えてほしい」という回答が上位となりました。
この結果は、配信者が健康を軽視しているのではなく、「活動を続けたい」という強い意思を持っていることを示しています。
- 活動を継続しながら体調を管理する方法
- 夜型生活を前提とした生活習慣の支援
- 配信活動を理解したメンタルヘルス支援
- 不調の早期相談につながる環境整備
など
今後の支援においては、「まず休みましょう」という一律の助言だけではなく、配信活動の実態に即した支援が求められると考えられます。
haicoオンラインクリニックの今後の取り組み
haicoオンラインクリニックでは、本調査を単発のアンケートで終わらせるのではなく、「配信者の健康実態を継続的に可視化する取り組み」として発展させていく予定です。
今後は、活動年数や所属形態、配信ジャンル、活動時間帯などによる詳細な分析を進めるとともに、医療・心理・生活習慣の各分野の専門家と連携しながら、配信者の実態に即した健康支援のあり方について情報発信を続けてまいります。
本調査に関してのお問い合わせは下記URLからお願いいたします。
https://uyet.jp/contact/
haicoオンラインクリニックについて

haicoオンラインクリニックは、心や生活に関する悩みをオンラインで相談できるメンタルヘルス支援サービスです。心理カウンセラーによるメンタルカウンセリングと、医師によるオンライン診療を提供し、利用者の悩みや心身の状態に応じた支援を行います。
精神的な不調が明確になってから利用するだけではなく、仕事や人間関係、将来への不安、活動上のストレスなど、配信活動を含む日常生活の中で感じる悩みについても相談することができます。
▼haicoオンラインクリニックの詳細はこちら
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