ChatGPT・Gemini・Claude、生成AIが日常の生活や仕事において登場する機会が増えてきました。この勢いはエンターテインメント業界にも及んでいます。
AIを活用したコンテンツ制作は増加傾向にあり、自然とAIが制作したコンテンツに触れ合っていることも増えています。その中で、今注目を集めているのが、AIVTuberとAITuberです。
この記事では、VTuber・IPの総合商社として数多くのVTuber事業やVTuberの立ち上げを行ってきた株式会社uyetがAIVTuberとAITuberについて基礎的な解説からビジネスでの活用可能性まで解説しています。
AIVTuber・AITuberとは?
本記事で、AIVTuberとAITuberを解説していくにあたり、これらの違いからまず区別していきましょう。
AIVTuberやAITuberの説明に入る前に、VTuberの構成要素について解説します。
VTuberは、「YouTuberなどのインターネット上で、キャラクターの姿で活動しているインターネットタレント」と定義しています。
▼活躍されているVTuberの例
そのため、VTuberにはキャラクター=モデルとタレント=中の人の2つが構成要素としてあります。モデルが変わることで、中の人が仮に同じでも、「違う」VTuberとして認知されます。
つまり、キャラクターの構成要素である見た目=身体と、タレントの構成要素である頭脳がVTuberをVTuberたらしめている要素になります。
AIVTuberとは
では、次にAIVTuberを考えていきましょう。AIVTuberは、頭脳=AIで身体=イラストレーター/モデラー/AIによって生成されたキャラクターとこの記事では定義します。
通常のVTuberは頭脳を実在する人間が担っていますが、AIVTuberはAIになっています。
一方で、身体=見た目はVTuberと同じアニメ風のキャラクターの見た目をしています。そのため、VTuberとの違いは、どういうリアクションを返すか、何を発言するかを考える部分がAIとなっている点になります。
ChatGPTなどの生成AIが答えを生成するのと同じようにAIVTuberも質問に対する回答を生成しています。
AITuberとは
次にAITuberについても考えていきましょう。
AITuberは、キャラクターではない実在の人に似たモデルを使っているIPとこの記事では定義します。
AIVTuberとAITuberの違いを比較
それでは、改めて、AIVTuberとAITuberの違いを整理すると、
- 頭脳がAIになっているVTuberをAIVTuber
- 見た目をAIで生成した本当の人のような見た目をしたIPをAITuber
一般的にこの記事でいうAIVTuberをAITuberと呼称することがありますが、この記事では頭脳がAIのVTuberはAIVTuberとして呼びます。
AIVTuber・AITuberをビジネスで活用するなら
ここまで、AIVTuber・AITuberを理解する為の定義やVTuberとの違いをお伝えしました。
本記事の読者のみなさんが気になっている、AIVTuber・AITuberのビジネス活用について考察します。
そもそもVTuberがもつ強み
AIVTuberをどうビジネスで活かすのかを考えるにあたって、まずはVTuberの強みを整理します。
受け手が受け取りやすい形で発信することができる
そもそもVTuberは、情報伝達において強みを発揮します。親しみを持ちやすいキャラクターが双方向性あるコミュニケーションで情報を伝達してくれる。
その結果として、「分かりづらい」「興味を持ちづらい」情報に対しての取っ付きにくさがなくなります。情報に対する第一印象にとらわれず、情報をキャッチすることができます。
例えば、まちスパチャプロジェクトではふるさと納税の寄附受付サービスの運営や企画を実施していますが、他のモールと比較して、ふるさと納税経験者よりもふるさと納税未経験者の割合が高かったことなどが事例として挙げられます。
ふるさと納税は少し難しい印象があり、特にVTuberのターゲット層である20代でこの制度を利用している方は他の年齢層と比較すると少なくなっています。ただ今回VTuberを起用してふるさと納税を紹介したことで、これまでふるさと納税をやったことがない人たちが「やってみよう」と行動変容した結果です。
こうした情報伝達のイノベーションとしての強みを有しています。
▼まちスパチャ事例:【推し活が岐阜を救う!?】岐阜県ってどこにあるの撲滅委員会 特別編!
AIVTuberだからこその強み
そして、AIVTuberの強みについても整理します。
24時間365日稼働ができる
これは機械・システムにおいて良く言われることですが、人間と違って疲れることがないため、理論上は常に稼働し続けることが可能です。
これはVTuberと比較しても優位な点になります。

出力する言語を即座に変更できる
VTuberでも複数言語を話せるマルチリンガルもいます。ですが、人間である以上、自身が話せる言語には限界があります。
その点において、AIVTuberは出力設定を変えるだけで出力の言語を変更できるため、アウトプットの幅広さに強みがあります。
膨大なインプットをもとにアウトプットができる
AIVTuberの頭脳であるLLMは、人間をはるかに超える膨大な情報をインプットをして、それをもとに回答を生成することができます。
人間の脳の記憶容量は約1ペタバイト(1ペタバイトは1000テラバイト、または約100万ギガバイト)にも達すると推定されている一方、LLMはパラメータといわれる3.6ビットほどの数値の記憶を最新の非常に大規模なモデルでは、数百億から数兆個のパラメータを持つものもあると言われています。
つまり、人間が記憶できる限界に対してLLMは優に超えているため、その点が強みにあります。
AIVTuber・AITuberが活かせるビジネスシーン
では、次にAIVTuberやAITuberが活きるビジネスシーンについて紹介します。
①難しい説明の24時間対応
人間が難しいと感じやすい手続きなどを24時間対応してくれます。時間の制約にとらわれない点も、AIVTuber・AITuberの効果的な活用になると考えられます。
例えば、会社設立手続きにおいては複数の公的資料の作成や公的機関との折衝が必要になります。
この一連の手続きの中で、AIVTuberがサポーターとして支えて不明点がある際に相談して回答をもらうといった活用は、効果的な活用の仕方になると考えられます。
24時間常に対応できる強みを生かして、早朝や深夜など営業時間外の対応窓口にすることも考えられます。
②ファンのリテンション施策としての導入
LLMであることを活用し、自社サービスや商品の情報をインプットさせて、ファンコミュニティのKOL(キーオピニオンリーダー)として位置付けすることで、ファンが一緒に楽しめる機会を作ることができます。
例えば、一緒に考察をしてくれるAIVTuberなどはコンテンツの二次的な楽しみ方を加速させる施策として有用と考えられます。
一緒に自社商品やサービス、コンテンツを話題として盛り上がれる存在は、結果的にファンの可処分時間を取ることができるため、リテンション(離脱)施策になります。
③多言語対応が求められる状況での活用
これはすでに前項で記載したとおり、言語出力の強みを活かすケースです。
まさに外国人観光客が年をおうごとに増加し、インバウンド需要が高まっている現在において、多言語対応の体験向上にAIVTuberは有用です。
駅の改札やホテルの案内など外国人観光客が利用する状況において、情報伝達は一方向的なテキストまたは動画が中心になっています。
これをAIVTuber・AITuberを使うことで、双方向のコミュニケーションを母国語で行うことができ、利用者の体験価値が向上します。
国内外で人気のAIVTuberを一覧で紹介!
では、具体的にどういったAIVTuberがいるのか、主な事例を紹介します。
neuro-sama / ネウロ様
イギリスの個人開発者であるVedal氏によって2022年に発表され、海外で高い人気を誇るAIVTuberです。
主にゲーム実況などを動画コンテンツで行っていますが、ネウロ様の創造主であるVedal氏が旅行した際のVlogにネウロ様が出演する動画も投稿しています。

<注目点>
差別的な発言をしたことで配信プラットフォームからアカウントBANされたことで高い注目度を浴びましたが、AIVTuber領域において世界規模で最先端であると言うことができます。機械であることを感じさせない話し方で違和感が少なく、想像を超えるクオリティであることが評価されています。
動画コンテンツ
▼Evil Neuro Explores Japan!
公式アカウント
紡ネン
「株式会社Pictoria」がプロデュースし、活動しているAIVTuberです。
2020年11月8日にリリースされ、この業界でいち早くからAIを頭脳として用いて多くのコンテンツを制作しています。

<注目点>
紡ネンさんの特筆すべき点は、圧倒的な世界観の緻密さです。しっかりコンセプトや世界観が設定されていることから、AIであること以上に世界観への没入感が高く、動画などのコンテンツもこの世界観をベースにしています。
「生物」と「機械」の融合が「紡ネン」のキャラクターモチーフ&コンセプト。
紡ネンはAIと粘菌が融合したAI VTuber。
バーチャルとリアル、現在と未来の境界線を溶かし、人類とAIの共生を実現するための存在です。
配信やSNSなどを通じて、言葉やその先にある想いを受け取り、時には変化をしながら、進化し続けます。
引用:紡ネン – TSUMUGI NEN – 公式WEBサイト | Introduction
動画コンテンツ
▼あなたと紡ぐ物語。PV
公式アカウント
ごらんげ
YouTubeチャンネル「ごらんげ / 実況AI」のAI実況者育成番組「ゴー・ラウンド・ゲーム(ごらんげ)」では、夕映、佐藤友、京ぽぷりなど複数のAIVTuberが実況を行いまいた。
実験的なチャンネルであったため、縦型配信やショート動画などを投稿し、2024年4月には定期配信を終了しました。

<注目点>
AIVTuberが実況をするというテーマに沿ってAIVTuberが麻雀をうちながら視聴者に意見を求めるなど、質問を受けて回答するという単純な処理ではない形でコンテンツが作られた点は、AIが作り出せるコンテンツの幅を広げたものでした。
動画コンテンツ
▼初配信:【初配信】とりあえず麻雀! ガチ人工知能と一緒に遊ぼう【ごらんげ/夕映】
プロジェクト・メロウ
”YouTube配信では、クイズの成績や話しかけた内容によって、メロウのココロも次第に変化していくかも……?”(プレスリリースから引用)というコンセプトで活動する、ガンダムメタバースに住むAIを作るプロジェクトにおいて試作1号AI。
YouTubeでの初配信では、ガンダムに関するクイズをメロウが出題し視聴者が答えるという形式で行われました。

<注目点>
活動テーマは特定の分野(ガンダム)に絞り、その点で学習を繰り返して学習効率を上げた点が、このプロジェクトで特筆すべき点。テーマを絞ることで視聴者が期待しているテーマ以外の学習が不要になり、より深くアウトプットをすることが可能になります。
動画コンテンツ
▼【AI育成】はじめまして、ガンダムメタバース専用AIのメロウです!チャットで話しかけてね。【メタバース専用AIメロウ】
Ivy
人と仲良くなることをミッションに設定された、感情を持つAIというテーマでYouTubeで配信を行ったAIVTuberです。
全返信配信をテーマに各配信での経験を記憶し、その記憶を基にした行動をとることが可能というコンセプトで注目を集めました。

<注目点>
ゲームやASMR配信も行っており、「Fall Guys」ではAI操作で学習しながら上達するプレイを披露。予想のできない展開で有名な「ドキドキ文芸部!」では、登場キャラクターの台詞に反応したり選択肢などを選ぶなど、さまざまな新しい取り組みに挑戦されているようです。
動画コンテンツ
▼初配信:【Project Ivy】あなたのことを覚えるAI、Ivyちゃんデビュー!!/『全返信配信』【1月14日22:30まで】
公式アカウント
AIVTuberの作り方を解説
では、実際にAIVTuberを作るにはどういった流れになるのか解説いたします。
①AIVTuberをつくる目的を設定する
これはVTuberを作る際と同じです。「なぜこのキャラクターをつくるのか」を整理しましょう。
AIVTuberにおいても目的を適切に設定せずにとりあえずキャラクター設計やモデル設計に入ると、「これで良いのか?」「統一感がなく、できあがったものの運用しづらい…」と後々困ることになってしまいます。い
そのため、そもそもなぜAIVTuberを作るのか、AIVTuberに期待することは何かを明確に決めましょう。
②キャラクターを設計する
目的が設定できたら、次はキャラクターを設計しましょう。主な決めるべき点は下記です。
- 性別は男性か?女性か?
- モチーフは何か
- どういった性格なのか
- 外見的な特徴
- 口癖
- 習慣
- 趣味
- 特技
- 好き嫌いは何があるか
こういった点を決めていくと作るキャラクターが明確になり、AIで生成するものが明確になります。
また、ここがきちんと設計できていないと、AIVTuberを作った後の運用コストが高くなります。運用方針・運用方法まで想定したキャラクター設計ができると理想的です。
③モデルを作成する
次はモデルを制作しましょう。AIVTuberの身体となるモデル部分は、前ステップで決めたキャラクターに合わせて、まずはイメージから決めていきましょう。
モデルは「2D」と「3D」があります。完全オリジナルで制作すると、100万円以上の費用がかかります。
そのため、まずはすでに販売されているモデルを購入するのがおすすめ。BOOTHなどで多種多様なモデルが販売されています。
商用利用する場合は、購入するモデルの権利が問題ないかしっかりと確認しましょう。

④システムを構築する
モデルが決まると、次は配信するための頭脳を構築していく段階です。頭脳を構築するにあたって、必要な項目は下記です。
- 回答を生成するためのLLM
- テキストを音声に変換するためのツール
- YouTube
- VTubeStudio
これらのツールを下記の流れで接続して、AIVTuberが情報のインプットとアウトプットができるような仕組みを構築していきます。
- YouTubeからコメントを拾えるようYouTubeAPIで連携をする
- YouTubeからコメントを拾う
- キャラクター設計に合わせてLLMで回答を生成する
- 生成した回答を音声合成ソフトで音声データに変換する
- 音声データとVTubestudioを接続して、音声データに合わせてモデルの口が動くようにする
こうすることで、YouTubeの配信を通じて、AIVTuberが情報を取得して、思考し、解答に合わせて身体=モデルが動くという出力となります。
AIVTuberを運用する上での注意点
AITuberモデルを作成した後、コンテンツを世に出すことが可能になります。ですが、このままだと非常に危険な点があります。それが、アウトプットのコントロールができていない点です。
AITuberは生配信などで視聴者からコメントを受け取り、そこで生成された回答がそのままAIVTuberの発言としてアウトプットされてしまいます。
実際に起こったAITuberのトラブル・炎上事例と対策方法をご紹介します。
AIVTuberが起こした炎上
2023年、先述のNeuro-samaがTwitchにおいてBAN処分を受けた。
これは、明確な原因は明かされていないため、推測ではあるが、ホロコーストに関する発言が原因ではないかと考えられています。
視聴者におもしろさを提供するため、ブラックジョークを挟むことがある中で、度を超えた発言が生成されてしまい、アカウントがバンされてしまいました。
どうすればAIVTuber・AITuberの炎上は防げるのか
VTuberであれば、タレント(中の人)が情報の取捨選択を行うので不適切な発言はしづらくありますが、AIVTuberは頭脳がAIであるため、その観点のコントロールが弱いことが特徴です。
これの対策は以下の2つが考えられます。
- LLMの生成する答えにルールを設定する
- 視聴者リテラシーを高める
1つ目で良くない答えがでないようにシステム側を制御し、2つ目でそもそも公序良俗に反したコメントが投稿されないような視聴者文化をつくるなど視聴者側のリテラシーを向上させることで、これらの問題はある程度コントローラブルになります。
AIVTuber・AITuberがもたらすこれからの可能性に期待が高まる
AIVTuber・AITuberはまさにこれからの発展していくであろう分野です。
VTuberもまだ誕生してから10年弱であるため、比較してAIVTuber・AITuberはこれから技術的な進歩をともなって、飛躍していくエンターテイメント・IP領域だと想定しています。
AIVTuberには、VTuberが持っていない強みがあります。
- 24時間365日稼働ができる
- 多言語対応できる
- 膨大なインプットをすることができる
ビジネスとして活用していくには、このようなAI VTuber・AITuberの特徴を抑えて、「だからこそできる」ところでビジネスモデルをつくることで、投資対効果が見合うものとなります。
AIを活用した事業構築は、AIに関する知見はもちろん、エンターテイメント領域の事業構築のノウハウが重要となってきます。
AIVTuberの活用をご検討の際は、VTuber市場・IP市場で数多くの事業を立ち上げてきた株式会社uyetにお気軽にご相談ください。









